これまで弊サイトにて何度か批判してきた、柳沢伯夫・厚生労働大臣であるが、「ああ、失礼だけど、やっぱりダメじゃないか?」と思うことが、つい先日もあった。
何と、社会保険庁が管理する年金記録のうち、持ち主が確認できないというケースが5000万件以上もあるというのだ! それだけでも非常に重大な問題であるが、さらに問題だったのが、この問題を野党議員に追求された時の柳沢厚労相の答弁である。
「社会保険庁が持ち主を調べることは難しい。ぜひ申告してほしい」 明らかに社会保険庁の管理の問題だとしか思えないのだが、こういう答弁をするとは、一体……?
やはり、「産む機械」発言の時、ガンガン責任を追及して辞任に追い込むべきだったのではなかったか。


今月25日付の「日刊ゲンダイ」の3面に、『「消えた年金」一大争点に』という見出しで、驚くべき記事が載っていた。
以下、その一部を引用する(注:
赤字部分は筆者による)。
朝日新聞が朝刊でデカデカと報じたこともあって、23日の国会答弁に立った柳沢厚労相は終始ピリピリだった。質問者の民主党・長妻議員に対し、「“消えた年金”という言い方は誤解を招く」と、政治争点化させまいと必死。このフレーズが広まることを恐れて、顔を真っ赤にして反論していた。
それだけ政府・自民党にとって「消えた年金」問題はヤバイということだ。なにしろ、社会保険庁が管理する年金記録のうち、「持ち主」が確認できないものが5000万件以上もあるのだから、驚きの大問題。その大半は社保庁の加入記録の統合漏れが原因だ。それなのに柳沢大臣は「社保庁が持ち主を調べることは難しい。ぜひ申告してほしい」などと国民に義務を転嫁するフザけた答弁をしていた。この「産む機械」大臣はホントおかしい。
読者の皆さんは、これを読んでどう思われただろうか?
「恐ろしくひどい話だ」とか「信じられない」とか驚愕した人も多いのではないか。
近年、あまりにも政治家の不祥事が多すぎて、感覚が麻痺したり、「どうせ、政治家や官僚なんてそんなもんだ」とか言う諦めの気持ちが生じたりして、多少のことには驚かなくなっている私がいる。
だが、これには本当に驚愕した。そして、怒りを覚えた。
考えてもみてほしい。
おそらく年金加入者の多くは、何十年も真面目にコツコツと働きながら保険料を納め続けてきたはずだ。
それが、いざ老後を迎えた時に年金が受け取れないとなったら、どうだろうか? それは老後の生活ができないことを意味する。
しかも、自分には全く非がないのに、役人の管理ミスのためだとしたら?
さらに、
その責任者である厚労相殿は、「社保庁が持ち主を調べることは難しい。ぜひ申告してほしい」などと、被害者である年金加入者に責任転嫁だ。 加入者の方から申告するとしても、「保険料を払い続けてきたことをどうやって証明するか?」という問題が出てくる。
年金手帳というものを私も持っているからわかるのだが、
あの年金手帳には、月ごとの保険料支払い記録が記されない。 例えば私の場合、国民年金を納めていた頃(学生時代から、フリーター&プータロー時代まで)から就職して、現在の厚生年金に換えた時の記録はある。だが(国民年金の時も、厚生年金の時も)、月ごとの保険料支払い記録を記す項目がないのだ。
つまり、
「毎月保険料を払い、なおかつ年金手帳をなくさずに保管しておいたとしても、保険料を支払ったという証明にはならない……年金をもらえなくなる」などというケースもあり得る、ということである。
いや、実際に起こっているのか……。
こんな酷い、バカな話があるだろうか?
本来ならば、社会保険庁が責任をもって調査して、各加入者の記録を確認するべきだろう。というより、それ以前に「何故、このような信じられないような管理ミスをするのか?」という疑問がある。

なお弊サイトでは、過去にも以下の記事にて柳沢厚労相を批判してきた。
スバラしき選民主義 @ 柳沢厚労相や石原都知事などの問題発言の根底にあるものは?
2007年2月11日
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-48.htmlどうしょもない柳沢厚労相と、それを擁護する人々
2007年2月19日
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-51.html 今度のことで改めてわかったのだが、「柳沢さんはやっぱりダメダメじゃないか」と、思う。
はっきり言えば、「産む機械」発言の時に、しっかりと辞任へ追い込むべきだった。今更ながらに、そのようにすら思う。
あの時、柳沢氏を批判する人たちに対して、逆に「(柳沢氏を批判する側は)些細なことを大袈裟に騒いでいる」とか「批判ばかりで代案がない」とかいう意味の批判を返してくる人たちが居た。あの人たちは、今回の件をどう見るのだろうか?
柳沢氏の件は「代案がないから……云々」などという問題で済む話だろうか? 私などはそのように思うのだが。
明らかに自分たちのミスで他人様から預かった大事な金品をなくす。そのくせ、自分が責任をとるよりも、元の持ち主に対して「返してほしかったら、預けたという確実な証明を出せ」などと言う。
もし、あなたの身の回りにこのような人物や集団がいたとしたら、どうだろうか?
そのような人たちは、政治家や役人としてという以前に、社会人として信用できないと思うのだが……。
今回の件は、しっかりと責任をもって、全ての加入者に年金が支払われるようにしていただきたいものだが……どうも、柳沢厚労相以下、政府のお偉いさんたちには、この期に及んでも保身と責任逃れを考えているようにも見えるのだが……本当に大丈夫か?
この私も含めた全ての年金加入者は、「自分の年金記録がどうなっているのか」を定期的に確認した方がよいのだろうか?
わざわざそれだけのために、平日に休みをとって、社会保険庁までいかなければならないとすれば、面倒な話ではあるが。
そうそう。
今回の問題に、どのように決着がつくのか。我々はそれをしっかりと見ておく必要がある。 民主党とか野党の皆さんには、しっかりと追求してほしいものだ。いい加減な妥協や手打ちで、この問題を曖昧なままにしてはいけない。
そして、もし政府が不十分・無責任な対応しかしなかったり、いい加減な責任転嫁をしたまま逃げ切ったりしたら……我々はそれも忘れずにいるべきだろう。
ちょうど7月には選挙もあることだし。

【追記】:5月25日、21時30分頃にて なお、本日(25日)夕方頃、この問題に十分な論議がされないまま、社会保険庁改革法案が、衆議院厚生労働委員会にて、政府与党によって強行採決されたらしい。
そうか、政府与党の皆さんはそういうつもりなのか。
最近、やたらと多数の力に任せた与党の強行採決が多いように思うが……。
どうやら、国民生活に関わる重大な問題も、数の力で無視できると思っているようだ。
有権者は、このことを良く覚えておかなければなるまい。少なくとも、次の参議院選挙までは。
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