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嗚呼、負け犬の遠吠え日記
ある時は、しがない安月給サラリーマン。ある時は、怪しい政経オタク。そんなkomichi(子路)の言いたい放題を綴ったブログです。荒らしなど、ネットの悪質行為の問題にも取り組んでいます。

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「若年層小泉支持」の背後にある新自由主義への幻想?(1) (過去ログ)
この記事は、旧館にて、2005年11月5日に掲載した記事に若干の修正を加えたものです。

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 「敗者・弱者ほど甘い夢を見る」
 小泉路線で犠牲にされるはずの若者たち(しかもその中には、ニートやフリーターなど、いわゆる「負け組」も多かった)が、何故先の衆議院選挙で小泉自民党支持に回ったのか?
 この疑問に対する私なりの答えのひとつが、冒頭の言葉である。

 この疑問については、もう既に多くの人が様々な角度から考察をされている。
 私などが今更、という気がしないでもなかった。しかし、以下3つの理由で私は、この問題について、私なりの考察をしておかなければならない、と考えた。

 理由その1。私は、「反小泉」「反新自由主義」の立場をとるからだ。小泉政権を批判するには、相手の強さの秘密も見ておかなければなるまい。
 理由その2。今後の日本の進路を考える上で、重要な問題のひとつにもなるだろうと考えるからだ。
 理由その3。私自身が、いわゆる「下層」とか「負け組」とか言われる層に属しているからだ。小泉路線で「負け組」になる人たちが何故、小泉自民党を支持するのか、という問題を考える時、私ならば彼らと同じか極めて近い立場にいるわけで、気持ちもより理解で気安い位置にいると思う。

 さて、本題に入ろう。
 この問題に関して、先日見つけた新聞記事がある。日刊ゲンダイ(11月1日号・31日発行)の7面に載っていた新連載『IT業界残酷物語』(横田由美子)の第1回目に出てくるIT企業に派遣社員として入った女性の話である。
 実に象徴的な話だと思ったので、少々長くなるが、抜粋させてもらう。


 

5万円+交通費。これが今春大学を卒業したばかりのA子さん(23)のひと月の給料だった。
 一流大卒ではないA子さんの就職活動は思うようにいかなかった。そこでA子さんはITベンチャー向けのインターンシップに申し込んだ。A子さんが派遣を希望したのは、マスコミによく登場する女性社長の会社だった。「IT」の響きが良かったし、女性が働きやすい環境で仕事を覚えさせてもらえるのでは、と期待したからだ。
 幻想が失望に変わるまでは時間はかからなかった。
「大手ならこんなに仕事をさせてもらえる機会はないんだから」
 朝の8時から終電間際まで働かされた。ことあるごとにその女性社長は恩着せがましく言う。有名な経営者が出席するパーティーに同行する機会にも恵まれたが、壁の花だった。
 福利厚生はもちろんのこと、社会保険にも入っていなかった。最近、女性社長が雑誌のインタビューで、「年収は2000万円以上です」と答えているのを知った。彼女はベンツで出勤していた。
 A子さんは、都内で両親と一緒に住んでいるので生活には困らないが、働いても働いても給与は変わらず、「いずれ正社員にするから」という約束も果たされない。契約は適当に更新されていった。半年後に会社を辞めたが、退職金の類は一切なかった。




 A子さんは、著者の取材に対して「競争上手な人には向いているのでしょうが、私のようなタイプは吸い取られるだけでした」と答えたという。まるで「自分に能力がなかったのが悪い」とも受け取れるような言い方である。
 しかし現実には、低い賃金と悪い労働条件で従業員をコキ使うだけという会社が結構ある。特にひどいのが、「ベンチャー」と呼ばれる企業で、経営者だけが、安月給でコキ使われている従業員の犠牲の上にあぐらをかいて、何千万という年収を得て、豪華な生活をしているというケースが少なくないと言う。
 上の引用文を読んだだけでは断言はできないが、A子さんのケースでも、「実はA子さんら従業員の犠牲の上に社長だけがおいしい思いをしていただけ」だったという可能性が考えられる。


 さてこの話が、若年層の小泉自民党支持とどう関係があるのか?
 カンのいい人、日頃から問題意識をもってニュースを見ている人や、ここの読者諸氏などの中には、もう既にお気づきの方もおられるかもしれない。
 A子さんが、IT企業に幻想を抱き、結局は搾り取られるだけで、失望して終わるまでのパターン、何かのパターンに似ていないだろうか?
 そう、結局は小泉改革で絞られ、排除されるはずの非エリートの若者たちが、小泉自民党に幻想を抱き、支持するパターンとよく似ている……というか、根本的に同じではないか?
 そう、私は思えてくる。


 思い返してみれば、これと同じようなパターンは、他にもあった。
 以前「成果主義」という奴が導入され、日本企業に広まっていった時も、似たようなパターンがあった。導入前は「成果主義」に賛成する意見が多数派を占めていたのだが、いざ導入されると圧倒的多数のサラリーマンは給与を下げられてしまった……。
 十年ほど前……私がちょうど就職活動をしていた頃には、「外資就職ブーム」が起きた。簡単に言えば、「年功序列など旧態依然として息詰まった日本企業より、実力主義の外資系企業を目指そう」という流れである。外資系企業の就職セミナーなどが開かれたら、多くの学生たちが「外資=実力主義=公平=かっこいい」というイメージに惹かれて集まってきた。しかし現実の外資系企業は、彼らが思っていた以上にはるかに過酷なものであり、日本企業以上にきつい仕事をほとんど休みなしでやらされるという話はしょっちゅう。さらに、「実力主義」とは言っても、内実は彼らが思っていたほど公平でもなく、上司の権限が非常に強力なため、日本企業以上に上司へのゴマスリが行われているらしい。これらの事実は、エコノミストの森永卓郎氏など多くの人々によって、現在では次第に世に知られてきている。
 さらに、近年の「ベンチャー」や「起業」ブーム。「自分も経営者になれる!」という夢を見せられて、事業を起こそうとしたのだが……現実に成功しているのは、ごく一部であり、圧倒的多数の人々はうまくいかず(ひどいのになると、詐欺や闇金業者、乗っ取り屋、悪質なフランチャイズのカモにされるだけというケースも多い)、最後は全てを失って破滅に至る人が増えている。このあたりの事情は、『起業バカ』(渡辺仁著、光文社ペーパーブックス)という本に書いてあるので、興味ある人はそちらをご覧いただきたい。

 さて、「成果主義」、「実力主義」、「外資系企業への就職」、「起業ブーム」、「ITベンチャー」、そして「小泉改革」。
 こうして見ると、それらのいわば「新自由主義的なもの」によって、「負け組」になるような人たちが、そういったものに幻想を抱いてしまうというパターンが、近年繰り返されている、ということに気づく!
 冒頭の引用記事にもあったA子さんも、「一流大卒ではない」、「就職活動は思うようにいかなかった」と、少なくとも「勝ち組」ではなさそうな人が、「ITベンチャー」というものに幻想を抱いてしまった。
 しかし結局は、そういったものに裏切られ、痛い目を見て、失望し、そうしてようやく現実を理解するのだが……。
 「小泉改革」に踊らされて支持している人たちも、いつか痛い目にあって、目を覚ますのだろうか? それとも、巧妙な世論操作に踊らされたままで、最後で気づかないのだろうか? あるいは、「ゆでガエル」のたとえ話のように、慣らされすぎて不感症になり、破滅するまで気づかないのだろうか? 今の時点では、私には何とも予想がつかないが……。

 では、ここで問題。
 何故、こういった「新自由主義的なるもの」に、いわゆる「負け組」(決してエリートや勝ち組でない人たち)が幻想を抱き、支持してしまうのか?
 本文の後半では、その理由というか、心理状態というものを、私なりに分析していきたいと思う。
 冒頭にも述べたとおり、私自身「負け組」に属する者である。そして、自らの恥をさらすのを我慢して申し上げると……かつて「ベンチャー」とか「実力主義」とか言った言葉に惑わされ、身の程知らずにもそれらに踊って失敗してしまった愚か者の一人であった!
 ごく一時期のこととはいえ。
 ただ、だからこそ、小泉支持に走ってしまった「負け組若年層」の気持ちというものを、より理解しやすい立場にいる、という自負だけはある。

 
 さて、今回はもう夜が遅くなってしまったので、ここまでとさせてもらいたい。
 本文の続きは、次回にする。

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※ここのアニメGIFバーナーは、『雑談日記』のSOBAさんが作成されたものです。
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【2006/11/01 06:30】 | 新自由主義批判 | トラックバック(-) | コメント(-) | page top↑

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