個人の言論(批判や告発)を、金や権力を持った強者が「
訴訟」をちらつかせて脅し、潰そうとする事例が、既存メディアでもネットメディアでも発生しています。
こうした「金や権力もない一般人の言論とその権利を、いかにして守るか?」という問題についても、考えるべきかもしれません。
(komichi)

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さて、しばらく「政治・経済」や「社会」などの話題から離れていましたが、今回はちょっとそっちの方に戻ります。
旧館及び写真画像がいきなり表示されなくなる事件が起こったりなど、どうも「天の声」は私に対して「政治、社会の話もしろよ」と言っているようですので(苦笑)。
ただそれでも、こちらの思い通りにやらせてもらうつもりですがね。
なお、「政治・経済の話は嫌いだ」という方や「それ以外の話を期待してきたのに」という方は(もしおられたら)、
旧館の方でどうぞ。
こちらへの移転後以来、
旧館では「政治・経済」以外の話をしておりますので。
さて、ここから本題に入ります。
ジャーナリストの
斎藤貴男氏をご存知でしょうか?
弊サイトの読者の皆さんならご存知の方も多いかもしれませんが、元は日本工業新聞や週刊文春の記者ですが、現在はフリー。『機会不平等』、『安心のファシズム』や、『非国民のすすめ』などの著書で、一億総貧困化・負け組化(いわゆる「格差社会化」)や、次第に全体主義化していく日本の国家・社会のあり方に対して警鐘を鳴らし続けてきた人として有名です。
御手洗富士夫という人物をご存知でしょうか?
やはり、弊サイトの読者の皆さんならご存知の方も多いかもしれませんが、キャノンの会長にして、日本経団連の会長。前経済財政諮問会議議員。
財界のみならず、政界にも多大な影響力を持つ人物の一人。
そして、現在の一億総貧困化・負け組化を強く推進した人物の一人として、悪名高い人物でもあります。
政治にも積極的に提言(介入?)し、「消費税を上げて、法人税を下げろ」とか、自社キャノンでの偽装請負(明らかな違法行為!)がばれた時などに「派遣法を変えろ」などと言ったり、
企業・財界の利益のみを露骨に押し出した、あまりにも利己的で亡国的な言動の数々は、多くの批判を浴びています(例えば、
この記事とか、
この記事とか)。
私のような「市場原理主義」、「一億総貧困化・負け組化」に反対する者が、最も批判する人物の一人でもあります。
皆さん方は、ご存知でしょうか?
現在、斉藤貴男氏が出版社とともに、御手洗富士夫から訴えられているという事実を! 正直言いますとこの私も、つい先日までは知りませんでした。恥ずかしながら。
その事実を知ったのは、日刊ゲンダイに隔週月曜日に連載されている斎藤氏の連載『二極化・格差社会の真相』でした。
そのうちの、2009年(平成21年)8月18日号掲載の『「口封じ」「見せしめ」
訴訟が報じられない危うさ』という回です。
その回では、月刊誌『サイゾー』に掲載された音楽ジャーナリスト・烏賀陽(うがや)弘道氏の談話をめぐって、音楽情報サービス会社オリコンが烏賀陽氏を訴えたという騒動を例に出して、
強者(大組織や権力者など)が、比較的立場の弱い個人の批判や告発を潰したり、萎縮させたりするためとも思える訴訟が行われることの危険さについて警鐘を鳴らしていました。
以下、一部を引用します(
赤字部分は、筆者による色づけ)。
……あえて版元を訴えずに取材源だけ、しかも金銭にも時間にも余裕のない文筆家個人に標的を絞った手口には、〝口封じ〟プラス他への見せしめ効果も図られていたのではないか。
問題の談話は烏賀陽氏の発言とは違っており、当人は掲載に同意していなかった。それでも一審は彼に100万円の支払いを命じる。だが控訴審には利害関係人である『サイゾー』が参加して事実関係を完璧に裏づけ、オリコンは自ら矛を収めざるをえなくなった。
引用、ここまで。
幸いと言うべきでしょうか。その件は結局、高裁で和解が成立したそうですが。
しかし同時に斎藤氏は、ご自身も書いた記事の内容をめぐって、経団連会長でもあるあの
御手洗富士夫・キャノン会長から
訴訟を受けていることを明かしておられました。
以下も、一部を引用します(
赤字部分は、筆者による色づけ)。
実は、私自身もその『週刊現代』の版元の講談社とともに、御手洗富士夫・日本経団連会長(キャノン会長)及びキャノンから総額2億円の損害賠償請求を受けている。同社の創業者とされる御手洗毅氏が戦時中、あの731部隊の黒幕的存在だった人物の指導で毒ガスに関わる研究を行っていた事実を明らかにした拙稿(07年10月20日号)が名誉毀損だというのだが、内容にはこれっぽちの誤りもない。7月には東京高裁が当方の主張を全面的に認めて彼らの請求は棄却されたのだが、御手洗会長らは上告してきた。
引用、ここまで。
さらに斎藤氏は、こういった恐るべき事実をまともにとりあげようともしない日本のマスゴミ(もとい、
マスコミ)のあり方についても言及されています。
以下も、引用です(
赤字部分は、筆者による色づけ)。
ネットメディアの台頭などで危機的な状況に陥ったマスコミ業界。権力や資本に対する弱腰は見るも無残だ。折も折、スポンサーにおもねっては筆を曲げまくる大新聞の実態を、元経済部記者が『週刊現代』(8月22・29日合併号)で活写しているので、一読を勧めたい。
……( 中 略 )……
だからどうだとは、ここでは言うまい。。財界のトップが正当な報道を最高裁にまで持ち込んだ現実がニュースにされていない現実が恐ろしいので書いておく。今どきのマスコミは、あったこともなかったことにしてしまう。
引用はここまで。
こういう話を聞いていて、さらに気になることがあります。
最近スタートした、あの裁判員制度です。
腹黒い権力側と、市場原理主義推進(≒対米売国勢力)勢力と、そして「市民参加・イコール・民主主義的」などという安直な思い込みから前者の思惑にホイホイと乗せられた馬鹿で世間知らずな日本の「市民派」、「進歩派」とが、一緒になって成立させてしまった問題制度。
プレゼンテーション能力が高く、
マスコミ操作にも長け、そして脅しや買収などの裏工作なども行うような「優秀な」弁護士を雇った金持ちや権力者が、簡単に勝訴を勝ち取れる。逆に、金も地位もない貧乏人には、いい加減な弁護士しかつけてもらえず、ろくな弁護も裁判も行われないままに、本人もよくわからないままに「有罪」にされてしまう。陪審員制度の国・アメリカではそういった事態が多発しているそうです。
アメリカのように、市場原理主義化が進められようとしている日本でもそのような事態が起きない、と言い切れるでしょうか。
私は「起きるだろう」という懸念を抱いております。
というか、はっきり言って裁判員制度の推進自体も、「アメリカと市場原理主義勢力とが、日本における自分たちの独裁体制を確立させるための陰謀」のひとつである、と私は考えています。
このままではいずれ、裁判員制度をあわせて、金や権力を持つ人たちが、自分たちに対する批判や異議申し立てを、簡単に潰せる。そうなれば、もう事実上どんなことでもやりたい放題。
逆に、それ以外の人たち(もちろん、我々一般人も含む)は、金や権力のある人たちからどんな理不尽なことをされようが、真実や自分の置かれている状況を知らされてることもなく、ひたすら萎縮し、黙って耐え、泣き寝入りし続けるしかない。
そんな暗黒時代が、誇張や冗談ではなく、本当に来るかもしれない。
そんな懸念と恐怖感を、私は抱いております。
それにしても、いつも思うのですが……そして今回、改めて思ったのですが、
日本のマスゴミ(もといマスコミ。テレビや大新聞)は、本当にどうしょうもないヘタレだなあ、ということです。 こんなことじゃあ、日本の一般大衆(特に政治や社会に対する意識・関心が高い人たち)から見放されて衰退していくのも当然でしょう。

しかしながら……。
既存のマスゴミが駄目だからと言って、ネットメディアがそれに代わるものになりうるのか? という問題があります。
残念ながら……「必ずしもそうとは言えない」というのが現状ではないでしょうか。
そしてこのことは、我々一般のネットユーザーにとっても、決して無関係ではありません。 現に、ネットでの個人の言論が、組織や団体の「
訴訟をちらつかせた脅し」によって潰されてしまった事例も起こっています。
そうした事例のひとつが、
今年7月13日記事でもとりあげた、kimeraさんとkenji145さんとの事例です
両氏は自サイトに、「日本パラリンピック支援機構」なる団体に対する疑念を書いたところ、なんとその団体からブログISPに「誹謗中傷だ」とか「訴える」とかクレームをつけてきました。
その詳細については、
当該記事を読んでいただきたいと思いますが、両氏ブログのISP(gooとFC2)管理者は、両氏の言い分を十分に聞くこともなく、一方的に「サイト非公開化」や「記事削除」等の処分を行いました。
これでは、権力におもねって言論封殺に「協力」してしまっている既存マスゴミと一緒ではないでしょうか。
こんなやり方が通るのなら、何の権力や財力もない個人ネットユーザーの権利はどうなるのでしょうか?
せっかく広がりつつあるネットメディアも、その意味も長所もなくなってしまいます。言い換えれば、「ネット言論の自殺行為」です。 今後は、
「いかにして個人ネットユーザーの権利を、資本や権力の理不尽から以下に守るか?」とか、
「そういったネットメディアのあり方とは何か?」などといった問題も考えていくべき時かもしれません。
同時に、ネット言論に携わる者は、個人ブロガーなども含めて、「より正確な事実に基づく記事を書くようにする」のはもちろん、「(言論・表現等に関する)最低限度の知識くらいは勉強しておく」などの防衛策を心がけていくべきかもしれません。 こういった問題については、また今後も考えていきたいと思います。
長くなりましたので、今回はここまでとします。

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テーマ:ネット上の言論統制
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