過労で死にそうになりました……(中編)
前回記事にて、前の勤め先である会社から過酷な労働条件下で働かされ、そのあげくに過労と熱中症で倒れてしまったことについて話をしました。
今回はその続きです。
「こんな人を人とも思わないような、いい加減な会社にいいように使われているだけではダメだ」
そう思うに至った私は、「退職」と「転職」ということも真面目に選択肢に入れるとともに、「会社に対してもっとものを言おう、少なくとも最低限言うべきことは言わなければ」と決めました。
それまでよりは、会社の経営側に対してものを言うようになりました。
ところが……。
会社の……というより、会社の経営側の人がとった姿勢や反応は、私をさらに失望させるものでした。
そして私は、退職・転職の決意をより一層強く固めることになったのです。
今回はそのいきさつについての話をしたいと思います。
(komichi)

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今回はその続きです。
「こんな人を人とも思わないような、いい加減な会社にいいように使われているだけではダメだ」
そう思うに至った私は、「退職」と「転職」ということも真面目に選択肢に入れるとともに、「会社に対してもっとものを言おう、少なくとも最低限言うべきことは言わなければ」と決めました。
それまでよりは、会社の経営側に対してものを言うようになりました。
ところが……。
会社の……というより、会社の経営側の人がとった姿勢や反応は、私をさらに失望させるものでした。
そして私は、退職・転職の決意をより一層強く固めることになったのです。
今回はそのいきさつについての話をしたいと思います。
(komichi)

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前回記事の続きです。
会社が……というより、勤め先の経営者があまりにも過酷な労働を、こちらに課してきたために、ついに過労と熱中症に倒れてしまいました。
「このままではいかん」と、私は思い至りました。
大まかに言って、そこまでが前回記事です。
それ以後私は、「会社に対してもっとはっきりとものを言おう」と決意したわけです。
以下、その顛末についての話をします。
*その4:経営者にもの申してみました(1)
昼といわず、夜といわず一日10時間以上の労働。
しかも、1週間以上……人によっては、2週間以上、半月以上も休日なし。
そんな労働が何ヶ月も続いております。
現場からも音をあげる人が出ているのですが、経営側はそのような過酷な労働を従業員に課すことをやめようとはしません。
それで思い余って、その時実質的な経営をしていた人(注:創業者の二代目です。肩書きは役員の一人ですが、前社長が経営の第一線から退いてからは、その二代目が実質的な経営・運営をしていました)に対して、思い余ってこういいました。
「あのねえ、いくら会社が忙しくて人手不足とはいっても、今の勤務はあまりにきつすぎるんじゃないでしょうか?」
しかしそれでも、その二代目役員氏はほとんど「そうしないと仕方がない」の一点ばりです。
埒が明かないので、次に私はこのように言いました。
「あのねえ、いくら仕方がない、仕方がないと言っても、ものの限度というものがあるでしょう!
今みたいな状態を続けるのは、世間一般の常識から言っても、あまりに無茶じゃないですか。
現に私は、先日倒れて、マジでやばい状態にまでいったんですよ。
他にも倒れる人が出たり、あるいはそれが元で事故でも起こったら、あなたは責任をとってくれるのですか?
それに……労働基準法というものがあることを、あなたも知らないわけじゃあないでしょ?」
感情にまかせて言った部分もいくらかあるので、細かいところまではよく覚えていませんが、だいたいは以上のようなことを、二代目役員氏に向かって言いました。私の記憶が間違ってなければ。
さすがに二代目役員氏も、「わかった。できる限り善処してみる。なるべく努力するから……」とだけ言って、それ以上言葉を濁してしまいました。
その時は私も、他に仕事が残っていたこともあって、一旦はそこで引き下がることにしました。
その翌日のことでした。
若い後輩社員が、私の顔を驚くような表情で、見つめていました。
そして私に、おそるおそるとこう尋ねてきました。
「あの……○○さん(注:私の本名)。昨日、何かあったのですか?」
不思議に思って私が、「何故、そんなことを尋ねるのか?」と逆に問いました。
そうしたら、その後輩社員はこう言いました。
「昨日会社にいったら、●●さん(注:二代目役員氏の本名)が、あなたのことでものすごく怒っていましたよ。
“おい、○○は一体、何なんだよ!? あいつは! 生意気な!”とか……。あなたのことをボロクソに言ってました。
●●さんに、何て言ったのですか……?」
それを聞いて私は、呆れるとともに、苦笑・失笑を禁じえませんでした。
何も私は、経営側に理不尽な要求をしたわけでも、ひどいわがままを言ったわけでもない。少なくとも、自分ではそのつもりですが。
憲法や労働基準法に基づいて、自分が労働者として本来保障されていることを、主張したに過ぎないと思うのですが?
いや、憲法や法律云々という以前に、このままでは自分たちの身体や生命すら危ういと思ったので、「何とかしてくれ」と言ったのですが……。
それがそんなに悪いことなんでしょうかね? その二代目役員氏にとっては。
いや、おそらくは二代目役員氏ご自身も、「自分の方が間違っている」ということに気付いているのではないか、と思います。本人にも、どこかやましいところがあったのでは、とさえ思います。
それだからこそ、私に対して直接的に反論せずに、私のいないところで逆ギレして、陰口を吹聴するしかなかったのでしょうね(苦笑)。
その後輩社員に、私はその前日に言ったことを説明しました。
その後輩社員も「ああ、そういうことだったのですが」と、苦笑まじりに納得してくれました。
自分たちのボスの性格を、彼もわかっていたようです。
なお、私の他にも、その二代目役員氏に対して「今のきつすぎる労働を、もう少し何とかしてほしい」と言った人がいたそうです。
その時に返ってきた答えが、次のふた言だそうです。
「甘えるな」
「駄々をこねるな」
なんか、「格差論は甘え」だとか「過労死は自己管理の問題」だとか言った、某派遣会社の某女性経営者みたいな発想ではないか……。
あのような考えを持つ人は、一部の特異な人たちだけかと思っていたのですが、その認識は甘かったようです。
あのような労働者を人とも思わないような考えを持つ人は、他にもたくさんいたようです。しかも、自分の身近にも。
この一件でますます、会社の経営側に対する失望感が増しました。
そして、「退職・転職したい」という気持ちがますます強くなりました。
経営側が、我々従業員を人間扱いしていない、する気もないということが、ますます明らかになりましたから。

*その5:経営者にもの申してみました(2)
我々従業員に対して、過酷な労働を課すことをやめない(実質的な経営者の)二代目役員氏に対して、ものを言ったことを他にもありました。
その二代目役員氏と、私を含む何人かの社員とが、仕事のことで打ち合わせをしている時のことでした。
相変わらず、従業員だけにきつい仕事を課している二代目役員氏に対して、思い余って次のように言いました。
「あのね、●●さん(注:二代目役員氏の本名)。
本当に会社全体が忙しくて、人手不足だといういうのでしたら、あなたご自信も現場に出られてはどうですか?
もちろん、本社でのお仕事がお忙しいことも、わからないわけではありません。
でも、我々現場の人間は、この炎天下の中……あるいは徹夜で10時間以上ぶっ通しで仕事を続けているわけですよ。
しかも、2週間か半月以上も休みなしで働いて、しんどいのも我慢して、他にやりたいこともあるのに諦めて頑張っているわけですよ。
そんな中で、あなただけが本社の涼しい部屋の中にいるのは、どうかと私は思うのですけどね。
●●さんは、この仕事に対する技能や資格もお持ちなんでしょ?
昔は、ご自身も現場に出られたことがおありなんでしょ?
本社のお仕事があるというのでしたら、余裕のある時間帯に出られるのはどうですか?
あるいは、本社の仕事が休みになる土日や祝日に出られるというのはどうですか?」
他の社員が何人もいる前でそこまで言われては、さすがの二代目役員氏も逃げたり、引き下がったりすることができなかったようです。
「わかった……。できる限り自分も現場に出るようにしよう」
そう答える他なかったようです。
ちなみに、その場に居合わせた同僚や先輩諸氏は、私のことを驚きの目で見ました。
「君は、凄いなあ。よくぞ、あの人に対して、あそこまで言えたものだなあ。いやあ、本当によく言ってくれた!」
などと口々に言いました。
後でその話を知った他の同僚・先輩諸氏も「よくぞ言ってくれた」と、感心したようです。
やはり、一般の社員が「実質的な経営者」を相手にはっきりものを言うのは……特に批判的なことを言うのは、相当な勇気が要るというのでしょうか。
もっとも……私の場合は、あまり誉められたものでもないかもしれません。
正直なところ、私の場合は「勇気があった」というよりも、「もうこの会社だけにしがみついていることはない」とか、「この会社に、これ以上長く留まっている必要もないだろう」という考えもありましたからこそ……いわば、ある種の開き直りのようなもの(笑)があったからこそ、二代目役員氏に対してあそこまでものが言えたのですけどね。
さて……問題はそれから後です。
それから二代目役員氏も、時々ですが、現場に出るようになりました。
ただし……一日のうちでも涼しくなる、夕方から夜にかけての時間帯だけ、でしたが。
本当にしんどい……私が熱中症で倒れたような猛暑の昼間の時間帯や、深夜の時間帯には出てきてくれません。
さらに言えば、当時のその会社は、現場は土日も働いているにも関わらず、本社の事務方と二代目役員氏だけは何故かたいてい休みをとる(もしくは、比較的楽な現場にしか出ない)という状態でした(苦笑)。
一度、私も皮肉をこめて二代目役員氏にこう言ったことがあります。
「あなたも土日の……しかも昼間の暑い時間帯に現場に出られてみてはどうですか?
そうすれば、我々現場で働く者の気持ちが、少しはお分かりいただけると思うのですが、いかがですか?」
しかし二代目役員氏は、そんな私の言葉を完全無視。
結局、一番きつい昼間の猛暑の時間帯に現場に出てくることは、ありませんでした。
少なくとも、私がその会社を退職するまでの間は……。
なーんだ。
結局……。
本社の役員の椅子にふんぞり返りながら。
「大変なんだ」「忙しい」「人手不足だ」「しょうがない」とか言って、従業員を散々コキ使いながら。
一番しんどいことは立場の弱い従業員だけにやらせているだけか……。
自分はエラそうにしながら、他人……特に自分より立場の弱い者だけに負担や犠牲を押し付ける。
はっきり言ってこれは、私が最も軽蔑するタイプのリーダーです。
我らの大将は、結局そういう人でしかなかったのか。
そんな大将に、人生のあらゆることを犠牲にして、時には生命を危険に晒してまで仕えてきた自分の人生って、一体何だったのだろう……?
またもやそんな疑問にとらわれた時、「退職」「転職」の決意が私の中でさらに固まったのでした。
*その6:経営者にもの申してみました(3)
私が実質的な経営者である二代目役員氏(仮称)に対して、ものを言ったことがもう一件ありました。
いや、次に紹介するのは「ものを言った」というよりも、「ものを言おうとした」「言おうとしてストップをかけられた」というものです。正確に言えば。
その日は、ある先輩社員の方(ここでは、仮に“Aさん”とします)と一緒に仕事をしていました。
Aさんと私とは、その日は同じ時間に仕事を終えて帰る予定でした。
ところが、その時間になってもAさんは帰ろうとはしません。
不思議に思って、Aさんに「もうあげる時間なのに、何故まだ残るのですか?」と尋ねてみました。
するとAさんは、
「それがなあ。俺はあと2時間ほど残らなあいかんことになった」
と答えました。
「どういうことですか?」と、さらに尋ねたところ、次のような事情があったのです。
その日の予定では、本来ならばあと2時間残らなければならない人員が必要だったのだったのでした。
しかしその時、社員全員の勤務表を管理し、スケジュールの割り振りをしていた二代目役員氏が、うっかりそのことを失念していたのです。そのために「本来必要な分より一名、現場の人員が不足する」という状態が2時間も生じることになってしまったのです。
つまりこれは、明らかに二代目役員氏のうっかりミスによるものなのです。
私が問題だと思うのは、二代目役員氏がその後にとった(とろうとした)処置でした。
その二代目役員氏は、空白になった2時間分をこの私(komichi)に残業させることによって穴埋めしようとしていたのです。
そのために二代目役員氏は、私の先輩であるAさんの携帯に連絡をして、「○○(注:私の本名)に2時間残業させろ。そのように説得しろ」と指示したそうなのです。
それをAさんは、次のように言って断ったのです。
「いや、それはやめましょうよ。○○は、この暑い中もう11時間も仕事をしてます。それをいきなり、もう2時間残業をしろというのは、ちょっとかわいそうですよ。この前もあいつは熱中症で倒れたばっかりなんですから。
それくらいなら、自分があと2時間残りますから、それで勘弁してくださいよ」
A氏が突然、2時間の残業をすることになったのには、そういう事情があったのです。
私のことを気遣ってくださったAさんのお気持ちは、とてもありがたかったのです。
しかしながらその一方、私にはどうしても納得できないものが残りました。
そもそもの問題は、二代目役員氏の明らかなミスによって起こったものです。ならばまずは、その二代目役員氏ご本人がミスの穴埋めをやるべきではないか、と私は思うのです。
ちょうどその時間は、本社の業務がさほど忙しいとは思えないような時間帯でした。
私はAさんに、次のように言ってみました。
「Aさん。私の方から、あの二代目ボンボンに言ってやりましょうか?
『元々はあなたのミスなのですから、今からでもあなたご自身が現場に出てきて穴埋めをしなさいよ』と」
するとAさんは顔色を変え、「頼むからそれはやめてくれ!」と言って、私を止めました。
私はなおも食い下がりました。
「だってAさんももう既に長時間お仕事をして、お疲れのはずですよ。
あの二代目ボンボンの言うことに、そうやって何でもハイハイと言いなりになっているだけだったら、こっちの身体ももたないということは、Aさんもおわかりのはずでしょう。
どうせ本社の椅子から電話で指示してきたのでしょう、あのボンボンは。だったら、『あんたが、今からでも出てきなさい』と言ってやりましょうよ」
それでもAさんは、次のように懇願するかのように、私を止めます。
「頼むから、それだけはやめてくれ。
せっかく、丸くおさまろうとしているのに、また睨まれてしまう。
俺があと2時間我慢したら、それでおさまるんだ。
だから頼むから、それだけはやめてくれっ!」
そこまで言われて、やむなく私は引き下がりました。
それでもまだ……私としては納得のいかないものが残りました。
そもそも、私に残業を指示したいのならば、私に直接連絡し、説得すればいいのです。
何故そうせずに、わざわざAさんに説得させようとしたのでしょうか?
二代目役員氏は、私の携帯電話の番号を知っています。何か指示や連絡等がある時は、細かいことでも直接私の携帯へと連絡していました。それがこの時に限って、直接私の携帯へと連絡してこなかったのです。
もちろん、「携帯にかかってきた連絡を私が取り損ねる」ということもありえます。
しかしそれでも、一緒に仕事をしているAさんの携帯に連絡し、Aさんから私に連絡を取り次いでもらえばいいのです。現にそれまで、私が携帯に出損ねた時には、二代目役員氏はそうして指示を伝えていたのです。
それが、この時に限ってそれすらもしなかった。
何故か?
それはおそらく、自分から残業を指示しても、「明らかにあなたのミスなのですから、自分で現場に出て穴埋めしなさい。自分のミスを、部下に尻拭いさせるようなことを安易にしなさんな」と一蹴されることが、二代目役員氏ご自身にもよくわかっているからでしょう。
そしておそらく、自分がそれにロクに反論できないだろう、ということも。
だからこそ、直接私に言わず(言えず)に、先輩であるAさんを使って説得させようとしたのではないか。
そんな気がします。
正直に言いますと、この時も「なんとヘタレな人なんだろう」という感想を、二代目役員氏に対して持ちました。
さて今回、熱中症で倒れて以降、会社(経営側)に対してガンガンとものを言うようになり……そして会社(経営側)の姿勢と反応に失望することになった、というエピソードをいくつか紹介しました。
前回記事でも言いましたが、熱中症で倒れた時に、次のような思いを抱いていました。
「俺は、本当にこのままでいいのだろうか……?」と。
死にかけ(あるいはその何歩か手前)の状態に至るまで、必死に働いていたとしても、会社はそれに報いてくれることはない。
それに見合うだけの待遇や報酬を与えてくれることもない。
今後も、どれほど働いたとしても、それは変わりそうにもない。
何年も同じ会社で働いていると、会社のやり方や考え方などが、いやでもわかってくるものです。
今回は何とか回復できたからよかったものの、もしそれで倒れて、死亡してしまったり、障害が残ってまともに働けなくなったら、どうなるのか?
会社は何か責任とってくれるのだろうか?
一生面倒を見てくれるのか? 何か保障をしてくれるのか?
残念ながら、おそらくそれはないだろう。
明らかに労働基準法を逸脱しているとしか思えないような長時間過密労働を、平気で押し付けてくれるような会社が……つまり、従業員をまともに人間扱いしないような経営者が、そういうことを考えてくれているとは、とてもじゃないけど考えられません。
……
ブログ記事更新などの自分のやりたいことはもちろん、「働く」「通勤する」「その間に休憩する」以外の、日常生活に必要なことの多くも犠牲にせざるを得なくなります。
つまり、まともに人間らしい生活をするのが困難になるのです。
私はとても、悲しく、虚しく、そして情けない気持ちになりました。
生活の……自分の人生の多くのことを犠牲にしてまで、必死に働いて報われないのは何故か?
しかも、人を人間扱いせず、将来のヴィジョンも持たず、ただ目先の利益だけを追い求めているような、いい加減な経営者のために。
そんな奴のために犠牲になっているような自分の人生って、一体何なのだろうか?
そんな思いが、私の中でますます強くなっていきました。
そしてついに(今度こそ)、私は「退職」と「転職」とを決意し、さらに実際に行動に移すことになりました。
思えば、ここに踏み出すまで……長かった。
次回は、退職・転職を決意し、行動に移してからのことと、その時に考えたことについて、話をします。
今回もいい加減に長くなってしまいましたので、ここまでとします。

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*その4:経営者にもの申してみました(1)
昼といわず、夜といわず一日10時間以上の労働。
しかも、1週間以上……人によっては、2週間以上、半月以上も休日なし。
そんな労働が何ヶ月も続いております。
現場からも音をあげる人が出ているのですが、経営側はそのような過酷な労働を従業員に課すことをやめようとはしません。
それで思い余って、その時実質的な経営をしていた人(注:創業者の二代目です。肩書きは役員の一人ですが、前社長が経営の第一線から退いてからは、その二代目が実質的な経営・運営をしていました)に対して、思い余ってこういいました。
「あのねえ、いくら会社が忙しくて人手不足とはいっても、今の勤務はあまりにきつすぎるんじゃないでしょうか?」
しかしそれでも、その二代目役員氏はほとんど「そうしないと仕方がない」の一点ばりです。
埒が明かないので、次に私はこのように言いました。
「あのねえ、いくら仕方がない、仕方がないと言っても、ものの限度というものがあるでしょう!
今みたいな状態を続けるのは、世間一般の常識から言っても、あまりに無茶じゃないですか。
現に私は、先日倒れて、マジでやばい状態にまでいったんですよ。
他にも倒れる人が出たり、あるいはそれが元で事故でも起こったら、あなたは責任をとってくれるのですか?
それに……労働基準法というものがあることを、あなたも知らないわけじゃあないでしょ?」
感情にまかせて言った部分もいくらかあるので、細かいところまではよく覚えていませんが、だいたいは以上のようなことを、二代目役員氏に向かって言いました。私の記憶が間違ってなければ。
さすがに二代目役員氏も、「わかった。できる限り善処してみる。なるべく努力するから……」とだけ言って、それ以上言葉を濁してしまいました。
その時は私も、他に仕事が残っていたこともあって、一旦はそこで引き下がることにしました。
その翌日のことでした。
若い後輩社員が、私の顔を驚くような表情で、見つめていました。
そして私に、おそるおそるとこう尋ねてきました。
「あの……○○さん(注:私の本名)。昨日、何かあったのですか?」
不思議に思って私が、「何故、そんなことを尋ねるのか?」と逆に問いました。
そうしたら、その後輩社員はこう言いました。
「昨日会社にいったら、●●さん(注:二代目役員氏の本名)が、あなたのことでものすごく怒っていましたよ。
“おい、○○は一体、何なんだよ!? あいつは! 生意気な!”とか……。あなたのことをボロクソに言ってました。
●●さんに、何て言ったのですか……?」
それを聞いて私は、呆れるとともに、苦笑・失笑を禁じえませんでした。
何も私は、経営側に理不尽な要求をしたわけでも、ひどいわがままを言ったわけでもない。少なくとも、自分ではそのつもりですが。
憲法や労働基準法に基づいて、自分が労働者として本来保障されていることを、主張したに過ぎないと思うのですが?
いや、憲法や法律云々という以前に、このままでは自分たちの身体や生命すら危ういと思ったので、「何とかしてくれ」と言ったのですが……。
それがそんなに悪いことなんでしょうかね? その二代目役員氏にとっては。
いや、おそらくは二代目役員氏ご自身も、「自分の方が間違っている」ということに気付いているのではないか、と思います。本人にも、どこかやましいところがあったのでは、とさえ思います。
それだからこそ、私に対して直接的に反論せずに、私のいないところで逆ギレして、陰口を吹聴するしかなかったのでしょうね(苦笑)。
その後輩社員に、私はその前日に言ったことを説明しました。
その後輩社員も「ああ、そういうことだったのですが」と、苦笑まじりに納得してくれました。
自分たちのボスの性格を、彼もわかっていたようです。
なお、私の他にも、その二代目役員氏に対して「今のきつすぎる労働を、もう少し何とかしてほしい」と言った人がいたそうです。
その時に返ってきた答えが、次のふた言だそうです。
「甘えるな」
「駄々をこねるな」
なんか、「格差論は甘え」だとか「過労死は自己管理の問題」だとか言った、某派遣会社の某女性経営者みたいな発想ではないか……。
あのような考えを持つ人は、一部の特異な人たちだけかと思っていたのですが、その認識は甘かったようです。
あのような労働者を人とも思わないような考えを持つ人は、他にもたくさんいたようです。しかも、自分の身近にも。
この一件でますます、会社の経営側に対する失望感が増しました。
そして、「退職・転職したい」という気持ちがますます強くなりました。
経営側が、我々従業員を人間扱いしていない、する気もないということが、ますます明らかになりましたから。

*その5:経営者にもの申してみました(2)
我々従業員に対して、過酷な労働を課すことをやめない(実質的な経営者の)二代目役員氏に対して、ものを言ったことを他にもありました。
その二代目役員氏と、私を含む何人かの社員とが、仕事のことで打ち合わせをしている時のことでした。
相変わらず、従業員だけにきつい仕事を課している二代目役員氏に対して、思い余って次のように言いました。
「あのね、●●さん(注:二代目役員氏の本名)。
本当に会社全体が忙しくて、人手不足だといういうのでしたら、あなたご自信も現場に出られてはどうですか?
もちろん、本社でのお仕事がお忙しいことも、わからないわけではありません。
でも、我々現場の人間は、この炎天下の中……あるいは徹夜で10時間以上ぶっ通しで仕事を続けているわけですよ。
しかも、2週間か半月以上も休みなしで働いて、しんどいのも我慢して、他にやりたいこともあるのに諦めて頑張っているわけですよ。
そんな中で、あなただけが本社の涼しい部屋の中にいるのは、どうかと私は思うのですけどね。
●●さんは、この仕事に対する技能や資格もお持ちなんでしょ?
昔は、ご自身も現場に出られたことがおありなんでしょ?
本社のお仕事があるというのでしたら、余裕のある時間帯に出られるのはどうですか?
あるいは、本社の仕事が休みになる土日や祝日に出られるというのはどうですか?」
他の社員が何人もいる前でそこまで言われては、さすがの二代目役員氏も逃げたり、引き下がったりすることができなかったようです。
「わかった……。できる限り自分も現場に出るようにしよう」
そう答える他なかったようです。
ちなみに、その場に居合わせた同僚や先輩諸氏は、私のことを驚きの目で見ました。
「君は、凄いなあ。よくぞ、あの人に対して、あそこまで言えたものだなあ。いやあ、本当によく言ってくれた!」
などと口々に言いました。
後でその話を知った他の同僚・先輩諸氏も「よくぞ言ってくれた」と、感心したようです。
やはり、一般の社員が「実質的な経営者」を相手にはっきりものを言うのは……特に批判的なことを言うのは、相当な勇気が要るというのでしょうか。
もっとも……私の場合は、あまり誉められたものでもないかもしれません。
正直なところ、私の場合は「勇気があった」というよりも、「もうこの会社だけにしがみついていることはない」とか、「この会社に、これ以上長く留まっている必要もないだろう」という考えもありましたからこそ……いわば、ある種の開き直りのようなもの(笑)があったからこそ、二代目役員氏に対してあそこまでものが言えたのですけどね。
さて……問題はそれから後です。
それから二代目役員氏も、時々ですが、現場に出るようになりました。
ただし……一日のうちでも涼しくなる、夕方から夜にかけての時間帯だけ、でしたが。
本当にしんどい……私が熱中症で倒れたような猛暑の昼間の時間帯や、深夜の時間帯には出てきてくれません。
さらに言えば、当時のその会社は、現場は土日も働いているにも関わらず、本社の事務方と二代目役員氏だけは何故かたいてい休みをとる(もしくは、比較的楽な現場にしか出ない)という状態でした(苦笑)。
一度、私も皮肉をこめて二代目役員氏にこう言ったことがあります。
「あなたも土日の……しかも昼間の暑い時間帯に現場に出られてみてはどうですか?
そうすれば、我々現場で働く者の気持ちが、少しはお分かりいただけると思うのですが、いかがですか?」
しかし二代目役員氏は、そんな私の言葉を完全無視。
結局、一番きつい昼間の猛暑の時間帯に現場に出てくることは、ありませんでした。
少なくとも、私がその会社を退職するまでの間は……。
なーんだ。
結局……。
本社の役員の椅子にふんぞり返りながら。
「大変なんだ」「忙しい」「人手不足だ」「しょうがない」とか言って、従業員を散々コキ使いながら。
一番しんどいことは立場の弱い従業員だけにやらせているだけか……。
自分はエラそうにしながら、他人……特に自分より立場の弱い者だけに負担や犠牲を押し付ける。
はっきり言ってこれは、私が最も軽蔑するタイプのリーダーです。
我らの大将は、結局そういう人でしかなかったのか。
そんな大将に、人生のあらゆることを犠牲にして、時には生命を危険に晒してまで仕えてきた自分の人生って、一体何だったのだろう……?
またもやそんな疑問にとらわれた時、「退職」「転職」の決意が私の中でさらに固まったのでした。
*その6:経営者にもの申してみました(3)
私が実質的な経営者である二代目役員氏(仮称)に対して、ものを言ったことがもう一件ありました。
いや、次に紹介するのは「ものを言った」というよりも、「ものを言おうとした」「言おうとしてストップをかけられた」というものです。正確に言えば。
その日は、ある先輩社員の方(ここでは、仮に“Aさん”とします)と一緒に仕事をしていました。
Aさんと私とは、その日は同じ時間に仕事を終えて帰る予定でした。
ところが、その時間になってもAさんは帰ろうとはしません。
不思議に思って、Aさんに「もうあげる時間なのに、何故まだ残るのですか?」と尋ねてみました。
するとAさんは、
「それがなあ。俺はあと2時間ほど残らなあいかんことになった」
と答えました。
「どういうことですか?」と、さらに尋ねたところ、次のような事情があったのです。
その日の予定では、本来ならばあと2時間残らなければならない人員が必要だったのだったのでした。
しかしその時、社員全員の勤務表を管理し、スケジュールの割り振りをしていた二代目役員氏が、うっかりそのことを失念していたのです。そのために「本来必要な分より一名、現場の人員が不足する」という状態が2時間も生じることになってしまったのです。
つまりこれは、明らかに二代目役員氏のうっかりミスによるものなのです。
私が問題だと思うのは、二代目役員氏がその後にとった(とろうとした)処置でした。
その二代目役員氏は、空白になった2時間分をこの私(komichi)に残業させることによって穴埋めしようとしていたのです。
そのために二代目役員氏は、私の先輩であるAさんの携帯に連絡をして、「○○(注:私の本名)に2時間残業させろ。そのように説得しろ」と指示したそうなのです。
それをAさんは、次のように言って断ったのです。
「いや、それはやめましょうよ。○○は、この暑い中もう11時間も仕事をしてます。それをいきなり、もう2時間残業をしろというのは、ちょっとかわいそうですよ。この前もあいつは熱中症で倒れたばっかりなんですから。
それくらいなら、自分があと2時間残りますから、それで勘弁してくださいよ」
A氏が突然、2時間の残業をすることになったのには、そういう事情があったのです。
私のことを気遣ってくださったAさんのお気持ちは、とてもありがたかったのです。
しかしながらその一方、私にはどうしても納得できないものが残りました。
そもそもの問題は、二代目役員氏の明らかなミスによって起こったものです。ならばまずは、その二代目役員氏ご本人がミスの穴埋めをやるべきではないか、と私は思うのです。
ちょうどその時間は、本社の業務がさほど忙しいとは思えないような時間帯でした。
私はAさんに、次のように言ってみました。
「Aさん。私の方から、あの二代目ボンボンに言ってやりましょうか?
『元々はあなたのミスなのですから、今からでもあなたご自身が現場に出てきて穴埋めをしなさいよ』と」
するとAさんは顔色を変え、「頼むからそれはやめてくれ!」と言って、私を止めました。
私はなおも食い下がりました。
「だってAさんももう既に長時間お仕事をして、お疲れのはずですよ。
あの二代目ボンボンの言うことに、そうやって何でもハイハイと言いなりになっているだけだったら、こっちの身体ももたないということは、Aさんもおわかりのはずでしょう。
どうせ本社の椅子から電話で指示してきたのでしょう、あのボンボンは。だったら、『あんたが、今からでも出てきなさい』と言ってやりましょうよ」
それでもAさんは、次のように懇願するかのように、私を止めます。
「頼むから、それだけはやめてくれ。
せっかく、丸くおさまろうとしているのに、また睨まれてしまう。
俺があと2時間我慢したら、それでおさまるんだ。
だから頼むから、それだけはやめてくれっ!」
そこまで言われて、やむなく私は引き下がりました。
それでもまだ……私としては納得のいかないものが残りました。
そもそも、私に残業を指示したいのならば、私に直接連絡し、説得すればいいのです。
何故そうせずに、わざわざAさんに説得させようとしたのでしょうか?
二代目役員氏は、私の携帯電話の番号を知っています。何か指示や連絡等がある時は、細かいことでも直接私の携帯へと連絡していました。それがこの時に限って、直接私の携帯へと連絡してこなかったのです。
もちろん、「携帯にかかってきた連絡を私が取り損ねる」ということもありえます。
しかしそれでも、一緒に仕事をしているAさんの携帯に連絡し、Aさんから私に連絡を取り次いでもらえばいいのです。現にそれまで、私が携帯に出損ねた時には、二代目役員氏はそうして指示を伝えていたのです。
それが、この時に限ってそれすらもしなかった。
何故か?
それはおそらく、自分から残業を指示しても、「明らかにあなたのミスなのですから、自分で現場に出て穴埋めしなさい。自分のミスを、部下に尻拭いさせるようなことを安易にしなさんな」と一蹴されることが、二代目役員氏ご自身にもよくわかっているからでしょう。
そしておそらく、自分がそれにロクに反論できないだろう、ということも。
だからこそ、直接私に言わず(言えず)に、先輩であるAさんを使って説得させようとしたのではないか。
そんな気がします。
正直に言いますと、この時も「なんとヘタレな人なんだろう」という感想を、二代目役員氏に対して持ちました。
さて今回、熱中症で倒れて以降、会社(経営側)に対してガンガンとものを言うようになり……そして会社(経営側)の姿勢と反応に失望することになった、というエピソードをいくつか紹介しました。
前回記事でも言いましたが、熱中症で倒れた時に、次のような思いを抱いていました。
「俺は、本当にこのままでいいのだろうか……?」と。
死にかけ(あるいはその何歩か手前)の状態に至るまで、必死に働いていたとしても、会社はそれに報いてくれることはない。
それに見合うだけの待遇や報酬を与えてくれることもない。
今後も、どれほど働いたとしても、それは変わりそうにもない。
何年も同じ会社で働いていると、会社のやり方や考え方などが、いやでもわかってくるものです。
今回は何とか回復できたからよかったものの、もしそれで倒れて、死亡してしまったり、障害が残ってまともに働けなくなったら、どうなるのか?
会社は何か責任とってくれるのだろうか?
一生面倒を見てくれるのか? 何か保障をしてくれるのか?
残念ながら、おそらくそれはないだろう。
明らかに労働基準法を逸脱しているとしか思えないような長時間過密労働を、平気で押し付けてくれるような会社が……つまり、従業員をまともに人間扱いしないような経営者が、そういうことを考えてくれているとは、とてもじゃないけど考えられません。
……
ブログ記事更新などの自分のやりたいことはもちろん、「働く」「通勤する」「その間に休憩する」以外の、日常生活に必要なことの多くも犠牲にせざるを得なくなります。
つまり、まともに人間らしい生活をするのが困難になるのです。
私はとても、悲しく、虚しく、そして情けない気持ちになりました。
生活の……自分の人生の多くのことを犠牲にしてまで、必死に働いて報われないのは何故か?
しかも、人を人間扱いせず、将来のヴィジョンも持たず、ただ目先の利益だけを追い求めているような、いい加減な経営者のために。
そんな奴のために犠牲になっているような自分の人生って、一体何なのだろうか?
そんな思いが、私の中でますます強くなっていきました。
そしてついに(今度こそ)、私は「退職」と「転職」とを決意し、さらに実際に行動に移すことになりました。
思えば、ここに踏み出すまで……長かった。
次回は、退職・転職を決意し、行動に移してからのことと、その時に考えたことについて、話をします。
今回もいい加減に長くなってしまいましたので、ここまでとします。

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テーマ : ワーキングプア(働く貧困層)
ジャンル : 政治・経済

















