どん底時代の自分の経験や、その時に感じたことを語ることによって、「いわゆる“ワーキング・プア”や“失業者”とか“負け組”とかいった、社会の底辺にいる 人たちが、どんな気持ちになるのか」を考えるこのシリーズも4回目になりました。
今回は、
シリーズ前回に続いて、職探しや就職活動などの経験を元に語ろうかと思います。

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このところ、橋下徹・大阪府知事選関連の話ばかりでした。
ここいらで「どん底の自分を語る」シリーズの次のエントリーをあげたいと思います。
サブプライム・ローン問題。
中国・毒餃子事件。
岩国市長選挙と、地方の弱みに付け込む汚い中央のやり方と、それに便乗して憲法に対する無知と強者に媚びる本質とをさらけ出してしまった某新任知事のこととか。
相変わらずネットの各所で動き回っているネット屑どものこととか、他にもいろいろと書きたいネタはあるのですが。
ただ、一度始めたことでもあるので、ここいらで再開したいと思います。
今回は
シリーズ前回に続いて、職探し・就職活動の話をしたいと思います。
新卒、卒業直前の学生時代には、黙っていても、企業からの就職説明会や会社訪問の案内がたくさん届きました。
しかしながら……。
逆に言えば、
新卒でなければ、就職説明会の案内など来ません。 また、学生時代ならば母校の就職課の支援を得ることも出来たでしょうが、新卒と言える時期を過ぎてしまうと、それもできません。
ってなわけで、他の一般求職者と同じように、ハローワークや派遣会社などの求人からも、必死で情報を探すことになります。また、学生時代にはほとんど見向きもしなかった新聞やチラシなどの求人広告なども、隅から隅まで目を通します。
もちろん、あまり選り好みなどしてはいられません。
ただ……。
その中には、かなりいい加減な求人や、「どう考えても怪しい」などと思えるようなものも混じっているわけです。
中には「これって、詐欺じゃないか?」とか、「求職者をなめているのか?」とか、疑問に思うようなものもあるわけです。
今回は、そういうケースを紹介します。
なお、
最初に断っておきますが、以下に書かれたエピソードはいずれも、私の体験した事実です。 あまりにもおかしな話なので、「本当にこんなことがあったのか?」などと思われる方もおられるかもしれません。でも、事実です。
もう何年も昔のことであった上、当時のことを詳細に記録していなかったため、記憶違いによる多少の誤認等は、もしかしたらあるかもしれませんが、大まかなところは事実です。
では、エピソードのひとつ目。
何年前になるでしょうか。
新聞に載っていたある会社の求人広告を見て、そこに応募してみることにしました。
その新聞広告には、はっきりとこう書いてありました。
「営業ではありません」
自分はあまり営業向きではない、と考えた私はちょうどいい、と思って広告を出していた会社に連絡をとりました。
が、しかし……。
対応に出た担当者が開口一番に言ったのが
「最初に言っておきますが、うちは営業ですよ」 私は「あれっ、見間違えたかな?」と思って、再びその求人広告を見直しました。そしたら、小さな文字でですが、
「営業ではありません」とはっきりと書いてありました。 しかし……何故こんなことになっていたのでしょうか?
求人広告を出す時に、何かの手違いがあった?
「営業募集」と書くと、あまり応募が来ないから?
あるいは何かの別の理由があったのか……?
事情はよくはわかりませんでしたが、「こんなことでいいのかよ?」とか思いました。
次に、エピソードの2つ目です。
あれは確か、ひとつ目のエピソードとほぼ同じ時期だったと思います。
ある時新聞の求人広告にて、その募集広告を見つけました。
それには、年齢制限以外の条件は書かれていませんでした。見ると、私も条件に当てはまります。
ただ、よく見ると……英会話教室を運営している会社のようです。正直、「私みたいな英語がダメダメな者でも勤まるのだろうか?」などとも思いましたが、応募条件には「語学力」がありません。
何より、「四の五の」などとは言ってられるような余裕はありません。ほんの少しでもチャンスがありそうならば、ダメ元でも挑んでみる。それくらいの気持ちでいました。
本当に無理かどうかは、とりあえず説明会に行ってから判断してもいいだろう、と思いました。
そして当初は……「大きな全国紙に載っている求人広告なのだから、間違いやいい加減なことはないだろう」などという思い込みもありました。
後になってその認識が甘かったことを思い知らされることになるわけですが……。 当日。
スーツを着て、開始時間よりも少し早い目に、説明会の会場に行きました。
私と同じような年代の求職者も、男女共に多数参加していました。
「一体、どんな業務内容なのだろうか?」
期待と不安が入り混じった気持ちで説明会が始まるのを待っていました。
いよいよ説明会が始まりました。
しかし驚いたのが、会社の担当者が最初に言ったことでした。
「うちでは頑張ったら、月に何十万円も稼げます」
「うちでは実際に、月に百万円以上稼いだ人もいます」
「たくさん稼いで、その次の月はまるまる休みをとって、海外旅行に行った人もいます」 ……。
あまりのことに私は、あっけにとられてしまったのですが……。
だって、そうでしょう。
「今時、そんなウマすぎる話があるのか?」 私でなくても、多くの人がそう思うでしょう。
次に、どんな事業をしているのか。あるいはどんな事業展開を考えているのか?
その話になりました。
英語教室の運営をしている会社との話しですが、世界最大の言語教育機関と言われる
リンガフォンの関連会社、あるいは関連事業をやっている……みたいな説明を受けました。
そして、日本で英会話・外国語学習の最大手とされたNOVAグループ(当時)に対して、次のように言って対抗宣言をしたのです。
「こちらは、大阪梅田駅などの主要な大きな駅ビル内に教室を開設することを予定しています。あちら(NOVAグループ)が“駅前留学”というのならば、こちらは“駅中留学”です!」
これは随分と大きく出たなあ、と思いました。
しかし、それほど壮大な事業計画を立てているというのならば、語学能力はもちろんのこと、かなり高い能力の人材が求められるのではないか。私のような外国語もダメダメな本当のペーペーなんか、まず無理だろうな。
そんなことを考えながら、話の続きを聞きました。
その次に、「どんな人材が求められるのか?」「どんな能力や勉強が必要か?」などという話になりました。
担当者の説明を聞いていると、またもや驚くべきセリフが飛び出しました。
「英会話などの語学能力は、必ずしも必要はありません。何故ならば、我々には語学能力がなくても語学教育ができるという特別なノウハウやマニュアルがあるからです」
これはまた、驚きました。
というより……
正直なところこの時点で、「なんか怪しいなあ」と疑念を持ち始めていました。 語学能力もないのに、語学の授業が出来る?
今時、何も特別な能力などもないのに、月100万円以上も稼がせてくれる?
そんなウマすぎる話って、実際にあるのだろうか……?
「まさか、詐欺の類じゃあないだろうなあ?」とか、不安にもなってきました。
それでは、「具体的にどのようなノウハウやマニュアルで、そのような凄いことができるのか?」という疑問が当然わいてきます。
「皆さん、そのような疑問を当然お持ちのことと思います。
次の説明会にて、そのやり方を公開・説明します。そうしたら、なるほどと納得していただけることでしょう」
担当者はそのように説明しました。
それで、その日の説明会は終了しました。
「一体、どんな方法なのだろうか?」という興味と、「これって、怪しいなあ。まさか、詐欺じゃないか?」という疑念の入り混じった複雑なおもいを抱きながら、その日はそのまま帰宅しました。
しかしながら……。
その秘密ノウハウを、私が知ることはなかったのです。
何故ならば、その説明会の翌日に、その会社から次のような電話が自宅にかかってきたからです。
「残念ですが弊社は、あなたを不採用とさせていただきました。その理由は、あなたが正社員・正職員として勤務した経験がないからです」 なんか納得できないものを感じながら、その時はそのままそれを受け入れました。
のちに、労働関連の法規に詳しい知人にその話をしたら、次のように言われました。
「君は、そこで怒るべきやったなあ。“正社員・正職員としての職歴がないから不採用”なんていうのは、明らかに労働基準法違反やぞ」 なんと、そういうことだったとは!
いや、これは労働基準法等など、知っておくべきことに対して無知・不勉強だった私の方にも問題があったかな。
というか、私も「雇ってもらう側、選ばれる側だからといって、相手に対して卑屈になりすぎていたところがあったかな」という思いもありました。
しかし、とはいっても……。
あんなわけのわからない「詐欺みたいな都合のいい話をかまされたあげく、労働基準法などという最低限のルールにも反するやり方で、いきなり排除された」というのには、やはり納得いかないものがありました。
その後、「“駅中留学”で全国展開した」という英会話教室の話は、聞きません。
その会社が超えるなどといっていた、英会話最大手のNOVAグループもコケて、現在ではその内部の矛盾や破綻などが明らかになっています。
「やはり、あの話はインチキだったのか?」と、今にして思うのです。
なお、もしその英会話教室の運営会社が、きちんと事業を続けているという話をご存知の方は、こちらまでご一報ください。
さて、ここでもうひとつ問題があります。
そのようないい加減な求人が、全国紙の求人広告に出されて、多くの求職者がそれに応じてしまうことです。 全国紙に出されるような求人広告が、そんないい加減なことでいいのか?
求人内容について、しっかりとしたチェックを行うようなシステムがないのか?
まあ、全国紙とはいっても、所詮は「広告を出してくれる企業は、“大事なお客様”」なのだから、あまり都合の悪いことや厳しい追求などはできないのかもしれませんが。
ただ、それで騙されたりして損をしたり、ひどい目にあったりする求職者の立場からすれば、たまらないなあ……などとも思うわけです。
ちなみに、
今回のエントリーで紹介したケースは、2つとも朝●新聞の求人広告でした。 それ以来、私は朝●新聞を信用しなくなりました。
いや。それ以前から疑念や不信感を抱いてはいたのですが、その件によって、私の疑念や不信感は決定的なものになったのです。
しかし考えてみれば……。
そんな怪しい求人広告を出しているのは、その会社だけではないでしょうね。
また、そんな怪しいものを掲載するのは、朝●新聞だけではないのかもしれませんね。
ただ、そんないい加減な求人広告を出すことがまかり通っているとすれば、求職者及び勤労者・サラリーマンは、何を信用して、何に気をつけて求職・転職活動をすればいいのだろうか?
そんなことを思いました。
なんか今回は、「どん底の……」とか、「ワーキング・プアなどの社会的弱者が……」などといった話題などとは、あまり関連性がなかったかも……。
次回の「どん底の自分を語る」シリーズは、
「運動編」に入りたいと思います。
労働運動や社会運動などの「運動」に対して、「負け組」「社会的弱者」の一人として、どのように関わってきたか。
それについての話をしたいと思います。
いや、より正確に言えば……。
何故、いわゆる「負け組」や「ワーキングプア」などの社会的弱者が、左派・リベラルなどの運動にあまり加わらないのか?
何故、既存の労働運動は、多くの社会的弱者の支持を得られないのか? そういった問題について、「社会的弱者になってしまった者の一人として思ったこと、考えたこと」を元にして考えたいと思います。
では、今回はここまでにします。
次回のエントリーは、また別の話にして、しばらくしてから「どん底の自分を語る・運動編」を始める予定です。

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テーマ:労働問題
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