どん底時代の自分の経験や、その時に感じたことを語ることによって、「いわゆる“ワーキング・プア”や“失業者”とか“負け組”とかいった、社会の底辺にいる 人たちが、どんな気持ちになるのか」を考えるこのシリーズも3回目になりました。
今回は、職探しや就職活動などの経験を元に語ろうかと思います。

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前々回と
前回に続いて今回も、どん底時代の自分の体験とその時の思ったことを語ります。
今回は、その中でも「職探し」とか「就職活動」などといったものにテーマを絞って話をしたいと思いますが……。
過去の日記を読み返してみて、
職探し、就職活動についての記録は、意外なほど残っていない……というか、HTML文書で書いていなかったということに気付きました。
考えてみれば、それはそうかもしれません。
何しろ、
「職探し」「就職活動」というのは私にとって、つらくて惨めな連戦連敗の記録でしかなかったからです。 第1回でも少し話しましたが、例えば以下のようなことを、一社回るごとに言われ続けるわけです。
「それだったら、他で職を探すように」
「悪いけど、キミにはウチの会社にとってウリになるようなものがない」
「キミのような人を採用した前例が、こちらにはない」
などなど……。
いや、面接までいけばまだ良い方で、多くは最初の書類審査や筆記試験等ではねられてしまいます。
最初のうちは「まあ、こんなものか」とか、あるいは「これを今後の反省点としよう」と考えるだけの余裕もありました。
しかし、こういうことが何十回も……おそらくは3桁の回数ほど言われ続けると、そのうちに本当に嫌になってきます。「自分はこのまま、駄目なままに終わってしまうのではないか?」とか不安になり、「自分は本当に駄目な人間なのではないか?」と自分に自信がなくなってきます。もっと言えば、自分がいやになってきます。
さらに、就職活動の記録をHTML文書にしてネットで公開するというのは、「自分を特定する情報を不特定多数の人間に晒す(かもしれない)」というリスクも伴います(注1)。 また前置きがながくなってしまいましたが、以上の理由により、就職活動に関する記録のうち今も残っているものは、意外なほど少なかったのです。特に、「ネットで不特定多数に見せる」ことを想定した書いたHTML文書にして書いたものはわずかしか残っていません。
それでも、わずかながらも残っていた(なおかつ、公開してもあまり問題がないと考えられる)ものがありましたので、今回はそれらを公開します。
まずは第一弾。
本日は、朝から市内で開かれた合同企業セミナーへ行く。
参加条件は、「新卒(来年3月卒業予定者)及び若年求職者(35才以下)」となっている。一応条件に合っているから参加を決めた。
予想はしていたことだが……やはり圧倒的に新卒の人が多い。しかも、各企業ブースの人事担当者の中には、私とほぼ同年代の人もいた。「ああ、こんなんで大丈夫だろうか?」と不安になる。そんな中で新卒の人たちとも競争しないかんのやから。
それにしても、この時期にも広い会場内を埋め尽くすほどたくさんの(目算でも3桁以上か)新卒求職者が参加していたとは。やはり「就職超氷河期」はまだ続いているのだ、と実感した。
私もいくつかの企業ブースで面接・入社試験の申し込みをしたのだが……。
以下は、ある企業ブースで人事担当者の人と話した時の会話である(細かいところまでは正確に覚えてないが、だいたいこんな感じだったと思う)。
会話の中でいきなり、「キミ、彼女いますか?」などという質問をされた。
私は質問の意図がとっさに理解できずに、一瞬答えに窮した。
「いえ、おりませんが……」
「では、彼女を作る努力をしてますか?」
「いえ、言われて見れば……しておりませんが」
「では、そういう努力もした方がいいと思いますね。率直に言ってキミの話を聞いていると、理屈や能書きが多い。勉強だけでなく、もっと遊びもして、それから彼女もつくって人間としての幅を広げなさい」
「……」
まあ、昔からよく「キミは人間が固い」とか言われたことがあるから、その人事担当者の指摘は正しいに違いないが……。
しかし「彼女を作る」というのは、「万年モテない君」の私にとっては就職以上に難しい問題だ(爆)!
……。
まあ、これはまだ、職探しをしていた時期のうちでも、比較的余裕のある時期に書いたものです。
だから、半分笑い話みたいな感覚で、こうしてネットで公表することもできるのです。
しかし職探しがうまくいかず、長引いてくると……さらにボロクソなことを面と向かって言われ続けたり、さらに気持ちが沈んでしまったりして、何も書きたくなくなってくるのです……。
もうひとつ、過去に書いた文章を紹介しましょう。
職探しを長く続けておりますと、「普段は気がつかない、なかなかわかりにくい社会の現実」などといったものが垣間見えることもあります。
次に紹介するのは、そんな一例です。
今日は(私自身が恥をさらすのを覚悟の上で)ちょっとシビアな話でも。
私は今の仕事(某福祉機関の事務補助・雑用)が決して嫌いなわけではない。
仕事自体は、ほとんどがワープロや表計算ソフトを使った文書の作成、データーの入力、単純であるが面倒な雑用である。しかし「社会的に意義のある仕事をしている」という自負をもって仕事に取り組むことができるので、それも全く苦にはならない。
また、職場の人はほとんどいい人ばっかりなので、人間関係で悩むことがない。この点、「理不尽なことを言われて困る」とか「上がいい加減で、嫌な仕事と責任ばかり押しつけられている」とか嘆いている社会人の知人・友人たちと比べて、私は恵まれているのかもしれない、と思う時がある。
しかしだ、やはり非常勤ともなると給与だけでなく、多くの面で不都合を感じることがある。今はまだそれでよくとも、30歳、40歳となってもこういう状態では……苦しいだろうな、と思う。しかも、今の仕事は期間限定雇用である。となると、嫌でも次の仕事を探さなければなるまい。
……というわけで、私も既に次の仕事を探し始めている。
本日はその一環として、地元の職安(職業安定所)へ行ってきた。もちろん、今日は非番である。
朝の早いうちから、職安は人でいっぱいであった。私とほぼ同年代の人もいれば、40代や50代の人、女性など……。まさに老若男女、多くの求職者の姿があった。昨今の不況の深刻さが表れている。
私も求職票を見てみる。私の見た限りでは、どうも、臨時雇用 (パート、アルバイト)が増えたような気がする。いや、「気がする」というだけではなく、実際にそうなのだろう。バイト、パートなどの不安定な雇用形態が増えているということがわかっている。
さらに以前、求人広告を作っている会社の説明会にいった時、その会社の人が以下のように言っていたのを覚えている。
「皆さん、この不景気で当社の仕事は減っていると思われているかもしれませんが、それは違います。むしろ増えています。ただし、正社員の求人は減り、バイト・パート の求人が増えているのです」
しかし求人票をいくつか見ると、「こんなものまで、臨時職で募集するのか?」と思うのもあった。例えばある公共施設の求人。学芸員資格を持った人材を募集するという内容であったが、雇用形態は「臨時職」であった。「“学芸員”って、特別な資格じゃないのか?」と、私は思うのだが。その他にも、スキルや資格を持った人や職務経験者さえも「臨時職で募集」というのがあった。
「これからは何か資格やスキルを持たなければならない」とよく言われるようになったが、資格やスキルを持った人でさえ不安定な状態の雇用に甘んじなければならなくなるのか?
「リストラ(という名の人員削減)」と「雇用のパート化」がまるでトレンドであるかのような昨今の風潮。しかし「(いろんな意味で)本当にこれでいいのか?」と、疑問に思ったりもする。
まあ、そんなことよりまずは自分の心配をしなければ……。
今日は、臨時職の募集を2件紹介してもらった。
「本当にこれでいいのですか? あなたぐらいの若さなら、今はスキルがなくても、他に正職員として雇ってくれる所もまだあるんじゃないですか? いつまでも、スキル不要の臨時職ばかりだったら、今はよくても30代、40代になった時に大丈夫かどうか……」
相談員さんがこのように気遣ってくれた。しかし私の今までの就職活動の経験からは、「そうもいかないのではないか?」という結論しか出てこない。私と同年代で大学卒業と同時に就職した連中は、今頃は中堅になりかけの頃である。中には、既に責任ある仕事を任されている者もいる。そういった連中に比べれば、私くらいの年齢で十分な職務経験やスキルを持っていない(新卒者と同レベルの)者など、企業の人にとっては魅力がないのだろう。業界や企業にもよるだろうが、「20代半ば以降ならば、 何かスキルや職務経験を持っていて当然」と考えられているところがあるようだ。面接官から「君のような人は、ウチでは採った前例がないんや」と断られたという経験も、一度や二度ではない。
結局、私のような者が正職員・正社員として就職するのは、今では結構難しくなっているのではないか、ということである。喰っていくためには、何でもいいから 仕事を得る。あまり選り好みするわけにもいかのいのである。勉強して、何かスキルを身につけるとしても、とりあえずの稼ぎ口くらいは確保しなければ……。それに、いつまでも親のスネをかじり続けるというわけにもいかない。
私の就職活動はまだまだ続く。もしかしたら、一生正社員・正職員になれずに終わるかもしれない……という不安も抱えながら。
あと、もうひとつ気が付いたことがある。
職安で仕事を紹介してもらうには、それぞれの求職番号のついた求職受付票(求職者のIDカードのようなもの)を発行してもらわなければならない。
以前(と言っても去年の12月前半頃)にも私は、職安に行ったことがことがあり、今の仕事はその時に紹介してもらったものである。もちろんその時に私も、求職受付票を発行してもらっている。だから今回も、そのまま受付に申し込めば、求人紹介と相談をしてもらえるものと思っていた。しかし……。
「あのーっ、あなたのデーターはもう残っておりません」
「へえっ!? あれから3ヵ月しか経ってないのに?」
受付の人が言うには、たとえ期間限定のパート・バイト労働であっても、一旦「仕事が決まった」ということになれば、その求職者のデーターは削除するらしい。
しかし「ちょっと待てよ」と、私は言いたい。
確かに(とりあえず)仕事は決まったが、期間限定の、しかも身分の不安定で収入も低いパート身分である。雇用契約は今月いっぱいで切れて更新はできないことになっているから、また次の仕事を探さなければ、たちまちプータローだ。言ってみれば半分くらい失業者のような状態である。そのような状態の者まで、普通に 正社員として働いている人と同じように扱ってくれるとはねえ……(苦笑)。
日本の失業率は、全国の職安から集められたデーターを基にして求められるという。とすると、私のような者は、「失業率」の中にカウントされないわけである。端的に言えば、「1週間のうち一度でも何かバイトをした人は、失業者にカウ ントされない」ということなのだ。しかしこれは、はっきり言っておかしいと思う。
いくら「仕事を探してる」と言っても、他には全く何もしないで職安に通っている……などという人ばかりではないだろう? そんな人ばかりではなく、「とりあえず短期のバイトでもいいから、次に見つかるまで稼がなければ……」という人がほとんどであろう。
「失業率」に限らず日本の経済統計数値などには、現在の経済実態を性格に把握してないいい加減なものが多いと。
そういうことだろうな。
近年、いわゆる「ワーキング・プア」や「ネカフェ難民」など、貧困層の人たち(特に若年貧困層)の問題がクローズアップされてきています。
しかし私は、逆に疑問に思うわけです。
「何故、これほど深刻になるまで、雇用の崩壊や貧困層の問題が放置され続けてきたのか?
いや、現在でもまだまだこの問題に対する危機感が、日本社会全体では薄いような気がするが、それは何故なのか?」
その原因のひとつが、雇用崩壊・貧困層の増加を正確に表さない統計数値や、マスゴミ報道等にあるのではないか、と私は思うのです。
いや、もっと言えば故意にごまかされてきた疑いもあるとも考えております。 ところで、こうして昔のことを思い返しているうちに、思い出したことがありました。
文書には残してはいませんが、思い出したのです。
やはり「職探し」「就職活動」に関する体験ですが、
「新聞等に出ている求人広告等は、必ずしも信用できるとは限らない」という話です。
次回はそんな体験の話を、私の記憶にある限りですが、したいと思います。
長くなりましたので、今回はここで一旦切ります。

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(注1): 実を言うと、私が……いや、私だけではなく多くの人たちが、ネットで自分の体験を語ることを躊躇する理由のひとつがこれです。
ネットでは、誰が、どこで、いかなる意図をもってこちらを見ているかわかりません。
その中には、悪意・敵意を持つ者や、危ない奴や、おかしな奴もいるわけです。
これは決して誇張ではありません。自分や家族に関する情報をネットに流してしまったために、犯罪やトラブル等に巻き込まれたという事例は、今までにたくさんあります。
また、自分では個人情報を出したつもりがなくても、「書かれた文章の中に書かれたわずかな手がかりから、個人の情報を探し出してしまう」などという恐るべき能力をもった人も、ネットの中には居るそうです。
例えば、「○○議員の演説を聞きにいった」とか、「○○の合同企業説明会に出かけた」などの情報だけでも、その人物の居住地域や、行動範囲などを絞り込むとか……。
正直言いますと、私自身もそういうリスクを犯している(かもしれない)ことを意識しながら書いております。
弊サイトの読者さんたちもご存知のように、弊サイトは某悪質工作サイトの連中をはじめ、ヤバそうな人たちに見張られています。そして、その中には(どこまで本気なのかは定かではありませんが)
私のことを「そろそろ刺すよ」などといきまいている馬鹿もいるわけです。
そういうネットの怖さについて詳しくは、また別の機会にとりあげることにしましょう。
*参考までにどん底の自分を語る
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-127.htmlどん底の自分を語る(2)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-128.html

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