驚くべきことが起こりました。
なんと、炎上というネットの暴力を助長して、それを商売にしようという試みがあったというのです。
そのサービスの名は「炎ジョイ」といいます。
その愚劣な試みは、多数の抗議殺到や開発者サイトの炎上などで一旦は頓挫したようです。
しかしながら……。
それにもかかわらず、同じようなことが再開されようとしているそうです。
我々はそのような愚行をこのまま許してはなりません。
と同時に。
「ネット上に悪質行為がはびこるのは、ネット社会で指導的立場にある人たち……ネット企業家や専門家や、マスメディアなどの無責任とモラル退廃があるのではないか?」
そのような思いをより強くしました。

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このところ、「ネットの言論問題」や「荒らし研究・対策」の記事ばかり書いていました。
なんというか……
「ネット工作員逆ヲチ日記」みたいになってしまったようです(爆。
そのため、もう他の話題に移りたいとも思いましたが……またもや、ネットの言論問題に関して、聞き捨てならないニュースを目にしました。
「ネットの言論問題にも取り組んでいます」と称している弊サイトとしても、見過ごすわけにもいかないと思い、今回とりあげることにしました。
しかし……もうしょうがないから、今月は「ネットの言論問題を考える月」とでもしましょうか。
いっそのこと開き直って(苦笑)。
では、ここから本題です。
先日、Jinne Louさんところで以下の記事を見つけて、「なんだ、それはっ!?」と驚きました。
「炎ジョイ」だと?ふざけるな
(「半哲学的談笑」2007年11月22日記事)
http://blogs.yahoo.co.jp/jinne_lou/52211454.html なんと、「炎ジョイ」なるサイト炎上を助長し、煽るようなサービスが開設されたそうです。 荒らしや炎上とは、サイト管理人や読者がネットで発言する権利を侵害するだけではなく、相手の心にも深い傷を残し、場合によっては実生活や人生にまで悪影響を与えてしまうという、いわば「悪」です。
それを積極的に煽ろうとする人たちがいる。
それを煽ろうとする企業が、ネットで商売を始めたというのです。
この信じられないような愚行の真偽を確かめるために、まずは以下のヤフーニュースを読みました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071121-00000935-san-ind(注:
赤字部分は、筆者による色づけです)
ブログ炎上情報を共有するサイト「炎ジョイ」開始
11月21日16時27分配信 産経新聞
大量のコメントが殺到する、いわゆる「炎上」状態となったブログやホームページ(HP)の情報を共有するソーシャルブックマークサービス「炎ジョイ」が20日、公開された。炎上しているHPの情報をユーザーが投稿できるほか、HP上に動画共有サイト「ニコニコ動画」風のコメントを書き込むことができる。
開発元のスパイダーネットワークスのHPによれば、同サービスについて「炎上しているブログやサイトの情報をみんなで共有し、ボヤを大火事にしてしまうサイトです。また、シャイな人のために炎上サイトの上のレイヤーに攻撃・防御に分かれ罵声を書き込み鬱憤を晴らせます」と説明している。
何なんでしょうか、これは……・?
「ボヤを大火事にしてしまうサイトです」とか、
「炎上サイトの上のレイヤーに攻撃・防御に分かれ罵声を書き込み鬱憤を晴らせます」とか、
明らかに炎上を煽り、助長する目的のサービスです! そのようなふざけたサービスの内容がいかなるものか。
私は以下の、「炎ジョイ」サイトを直接見てみました。
http://enjoy.mocovideo.jp/ この記事を書いている現在では、サービスは停止されているようです。
しかし、サービス停止前の様子は私も見ました。
さらに、Jinne Louさんが、
ここにサービス停止前「炎ジョイ」の画像を残してくださったので、確認できます。
それを見ると、以下のように、やはりふざけた文句が並んでいました。
火事と喧嘩は江戸の華
炎上サイトはネットの華
炎上と思って勇んで駆けつけたら、既に沈静化。。そんな思いもうイヤだと、サービス開始
旬な炎上サイト情報を共有
炎上しているブログやサイトの情報を登録して、みんなで共有。レイヤー上でお祭り騒ぎ!
サイト炎上にコーソリ罵声を・・・
炎上サイトの上にレイヤーを張って、コッソリ罵声!シャイなあなたも楽しめる!攻撃・防御側で参戦可能。
飽き足りなかったら直接爆撃
レイヤー上で暴れて欲求不満や切なくなったら、勝手に直接爆撃に移行可能。
どう見てもこれらは、炎上を煽り、助長する内容でしかありません。 さらに、炎上サイト、あるいは炎上させようとしているサイトの情報を提示して、「至急参戦者求む!」荒らしを煽っています。
攻撃求む!
ネット界のブスドル上原...
攻撃求む!
平野綾
防御求む!
ここに変態がいるお!
やはり、どう考えても炎上を煽っているようにしか思えません……。
しかも、「ブスドル」とか、酷い中傷の言葉までついています。
よく見ると、こんなのも。
防御求む!
炎ジョイ
いやはや……。
他人のサイトへの攻撃を煽っておきながら、自分のところは守ってもらおうという、実にちゃかりした……というか、
実に卑劣な確信犯のようです。
私が今までネット上で見てきた馬鹿者ども……「ネット屑」とか「悪質行為者」などと呼んできた者たちと同じです。
そんな馬鹿どもと同類の人たちが、金儲けのために、同じような屑どもを煽動する。
それによって、多くのネットユーザーの権利や尊厳が踏みにじられ、さらにネット社会全体に暴力を肯定する風潮が広まるかもしれない。
そんな不条理なことが許されてもいいのでしょうか?
しかしながら……。
そのふざけた「炎ジョイ」なるものは、
開始から数日でサービス停止に追い込まれたようです。
なんでも、多数の抗議が殺到したとか……。 さらに、
開発者のブログも炎上させられるという、なんとも皮肉な結果になりました。
まあ、「荒らしや炎上はいけない」といつも主張しておりますが、この炎上だけは全く助ける気も、同情も起こりません。全く「自業自得」としか……。
どうやら、このようなものに対しては、反対する人の方が圧倒的多数であった。
日本のネットユーザーの良心が示された。
……などと思って安心していたら、それはちょっと甘かったようです。
なんと、
今回の失敗にもかかわらず、炎ジョイなる愚行を行おうとしたスパイダーネットワークスなる会社は、性懲りもなく「炎ジョイ」(α版)なる、同じようなものを開設する予定だそうです。
しかも、「炎上好きな人のガス抜きになった」などという弁解までしています。 以下、この件についてのニュースを紹介します。
「炎上」情報共有サイト 運営会社が真っ先に「炎上」
11月22日18時4分配信 J-CASTニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000003-jct-sci 以下、そこから一部を引用します(
赤字部分は筆者による色付けです)。
しかし、想定外のユーザー数の急増で個人サイトの登録の削除作業が追いつかず、サーバーが重く なって管理もままならなくなって、同社はサーバー停止に追い込まれた。
「想定以上のユーザーに見られてしまい、あらぬ誤解を与えてしまったことは申し訳ないと思っ ています。一般サイトが登録されてしまったことについても大変申し訳なく思っています」
田浦社長はこの様に謝罪する。すでに「炎ジョイ」(β版)に謝罪文を掲載。近くサーバーを増強 したうえ削除機能も強化した「炎ジョイ」(α版)が開設され、そのトップページでも謝罪文を掲載 するという。
おいおい……。
どうやら開発者たちは、今回の大失敗に反省することも、懲りることもなく、再び同じようなことをやろうとしているようです。 そのようにも受け取れる文章です。
サーバーを増強したり、削除機能を強化したりすればいい、というものでもないでしょう。
さらに問題なのは、以下の部分。
同社の田浦隆也社長はJ-CASTニュースの取材に対し、ユーザーの殺到やサーバーへの攻撃などによ り、「サーバーが重くなり、管理画面による運営が事実上できなくなった」と話す。しかし、そもそ も「炎上」を扇動するかのようなサイトを開設した意図は何なのか。返ってきた答えは意外なものだ った。
「レイヤーを使うことで、『炎上』が好きな人の『ガス抜き』になり、(当のブログの)『炎上 』が止められるのではないかということで『炎ジョイ』を企画しました」
■トップページで謝罪文を掲載
田浦社長によれば、「炎上」という現象が起こる際に、本当に悪意や憎悪の感情を持って書き込ん でいる人は実は少なく、単に騒ぎに便乗してネガティブなコメントを書き込む人の方が多いのではな いかという仮説をたて、「炎ジョイ」を企画。「炎ジョイ」(β版)で実験的に「炎上」の実態を掴 み、個人ブログなど問題のある登録については削除するつもりだったという。しかし、実験的な試み を前面に打ち出しても「炎上が好きな人」は集まらないということで、「炎上」現象を扇動するよう な内容で「炎ジョイ」を開設したらしい。当初はユーザーの数もそれほど多くないと踏んで、サーバ ーも1台しか対応していなかった。
それが、「炎上」を助長するようなサイトとして話題になり、複数のメディアも取り上げたことか らユーザー数も急増。2007年11月21日午後4時~22日午前11時までの19時間で、約90万ページビュー を記録、ユニークユーザー数も約14万人に上った。実際、「炎ジョイ」のレイヤーで書き込んでいる 人のうち、実際に当のブログやホームページに書き込む人はわずか2%。レイヤーへの書き込みが「 ガス抜き」になることが実証されたというわけだ。
この「炎ジョイ」とやらが、「ガス抜き」「炎上の抑制」に役に立ったと言いたいようですが……。
「ホンマかいな!?」と、私は疑問に思います。
このような弁解に対して、先述のJinne Louさんも
こちらのコメント欄で、以下のように疑問を呈しておられます(
赤字部分は筆者による色付けです)。
なるほど。〈「炎ジョイ」のレイヤーで書き込んでいる人のうち、実際に当のブログやホームページに書き込む人はわずか2%。レイヤーへの書き込みが「ガス抜き」になることが実証された〉とありますが、これは眉唾でしょう。もともと炎上に荷担したがる連中はレイヤーなんかに書かずに最初から直接書き込んでるだろうから、こんな数字を出してきても説得力はありません。こうした“まとめサイト”的な場に一度でもターゲットとして晒されてしまえば、被害は容易に拡大するのがインターネットなのであって、「削除機能」を強化すればいいってもんじゃないでしょう。
2007/11/26(月) 午後 0:18 [ Jinne Lou ]
まさしくそのとおり。
開発者の言い分は、自己正当化の詭弁にしか私には思えません。
そんな詭弁を弄して、またもや同じようなものを作ろうとしている。
「今度はもっとうまいことやろう」ということでしょうか。
全く。日本のネットユーザーも、とことんなめられたものですね。
もし、このようなものができれば日本のネット社会はどうなるのか?
荒らしや誹謗中傷、コメントスクラムなどのネットの暴力が現在以上に酷くなることが懸念されます。量的にも、質的にも。
そして、そのようなネット上の暴力を利用した言論封殺行為もさらに酷くなる恐れもあります。 『反日ブログ監視所』などといった悪質サイトよりも、さらに厄介で、たちの悪いものになるかもしれません。
また、ネット社会だけではなく、リアル社会への影響を懸念する意見もあります。
『集団・匿名でのいじめを商売にする会社。そんないじめに好意的な新聞。』(「村野瀬玲奈の秘書課広報室」2007年11月23日記事)より引用。
そのような「炎上」をあおって「遊び」にし、それを商売の種にする会社がついに日本で立ち上がったというわけです。
教育現場では良心的な先生がたがいじめをなくそうと心を痛め、努力しているはずですが、こんなことをやる会社があり、それをあおる報道機関がその努力を台無しにしています。
日本を憎悪と差別と暴力の国にしたい勢力が日本には確かに存在することがわかりました。そして、そのような勢力のかなりの部分が声高に「愛国者」を自称していることを私は知っています。
引用記事でも触れられているように、
スパイダーネットワークスなる会社だけではなく、報道機関(この場合では、産経新聞やJ-CAST)までもが、その片棒を担ぐかのような報道をしています。 2007年10月28日の記事
『最悪級の悪質行為者の実例(4):「redpurge200l」と『反日ブログ監視所』の不愉快な仲間たち編・その2』にて私は、以下のように発言しました。
そういえば最近でも、ネットの闇サイトで知り合った犯罪者3名が、何の罪もない女性を殺害して金品を奪うなどという事件が発生しています。
あのような事件が起こったにも関わらず、あのような闇サイトの取り締まりは難しいとか……。
どうやらYahooだけではなく、一部のIT企業やネット専門家などの間には「ネットの成長や発展のためには、多少の問題やそれによる犠牲も容認してもいい」とか、「ネット企業の利益や成長のためには、多少の悪は目をつぶっていい」などという考え方が、未だに根強いのではないか?
そのような疑問を抱いてしまうのです。
悪名高き「共謀罪」や「人権擁護法」などを設置してネット規制を強めるべきだ、などというつもりはありません。
しかし一方で、このような現実もあるのです。
ネット社会で指導的立場にある人たち(ネット企業家、知識人など)の甘さと無責任のために、結果的に自由をはき違えた馬鹿者や犯罪者がのさばり、結果として被害者や犠牲者があとを絶たない事態になっている。
それでいいのでしょうか?
今回の「炎ジョイ」の一件で、私はこの思いをさらに強くしました。
屑のような輩を相手にネットの暴力を煽り、それを商売にしようとする。
我々はこのような愚行を許してはなりません。 とりあえずは、今後とも「炎ジョイ」のような愚劣な試みを行うとする者たちに対して、目を光らせることにしましょう。
以下、スパイダーネットワークスのHPと、開発者のブログです。
スパイダーネットワークス
http://www.spider-networks.jp/index.html毒ラボブログ
http://spndoku.blog20.fc2.com/ もちろん、「炎ジョイ」も忘れてはいけませんね。
http://enjoy.mocovideo.jp/ さて……ここからさらに、産経新聞やJ-CASTなどメディアの責任についても触れたいと思いますが、長くなりましたので今回はここまでとします。

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