あえて「B層」とか「愚民」などという言い方をしたくない理由(3):少しずつでも有権者は「劇場型選挙」から脱しつつある
私もそういった人たちに対して、批判的な言説を展開してきました。
しかし、そういった人たちに対して「批判すべき点は、きちんと批判すべき」などと、今でも考える一方で思うのです。
「自分もまた“大衆”の一人ではないのか。“B層”と言われる人たちと自分との間にどれほどの差異があるのだろうか?」
そして、
「“大衆”とか“B層”などと呼ばれる日本の有権者を、もっと信頼してもいいのではいか?」
とも思い始めています。
政権与党とマスゴミ主導の劇場型選挙に踊らされない人が増えている。
多くの有権者が、真面目に自分の生活をみつめ、政治に対する取り組み方を改め始めた。
そう私は見ているわけです。
今回は、私がそのように思う理由を紹介します。

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また更新に時間がかかってしまいましたが、『あえて「B層」とか「愚民」などという言い方をしたくない理
由』シリーズも第3回を迎えました。
第1回及び第2回にわたって、「B層」とか「大衆」とか言われる人たちについて取り上げてきました。
前回では、小泉支持者に批判的な発言をしてきたことを紹介しつつも、最後の方でこうも言いました。
もうちょっと、日本の大衆を信用してもいいのではないだろうか?
一見、流されているだけのように見える日本の大衆(≒「B層」)ではあるが、少しずつでも地に足をつけ、考え始めているのではないか?
流されているだけではなく、自らの頭と体験で考える人たちが、増え始めているのではないか?
そのようにも考えるわけです。
今回は、そのように考える理由を3つ紹介します。
(1)タレント候補の得票が減少
先の参議院選挙では、2005年の衆議院選挙時よりもタレント候補の得票が減ったそうです。
以下、参議院選挙後に出された分析記事『07参院選を分析する(3)自民の思惑はずれたタレント票 』より引用です。
全国区時代は集票マシーン
かつて参院選に全国区制度があった時代には、タレント候補が大量得票しました。【表10】は歴代大量得票トップ10です。石原慎太郎氏の301万票が最高記録です。タレント候補のはしりはNHKの人気番組「私の秘密」のレギュラー・藤原あき氏(1962年)でした。初めて100万票を超えて参院選に大きな衝撃を与えました。石原慎太郎氏が最高得票した1968年にはテレビ俳優の青島幸男氏、作家の今東光氏、東京オリンピックで優勝した女子バレー監督の大松博文氏、漫才の横山ノック氏らタレント候補が続々と登場しました。1974年は4位の鳩山威一郎氏(自民)を除いて6位までがすべてタレント候補でした。
現在の比例代表は政党名でも記載できるため単純には比較はできませんが、1974年参院全国区はタレント5人だけで約877万の得票を稼ぎだしました。この得票数は、今回の自民党の個人名による得票(約600万票)、さらに公明党の個人名票と政党名票を合わせた得票総数(約776万票)をも超える規模です。
これに対して、今回の全タレント候補の得票は234万票。タレント票の減少は、候補者に大量得票する大物がいなくなり候補者が小粒になったこと、有権者の意識が変わったことなどさまざまな要因があるでしょうが、もっともタレント候補に頼る自民党がもっとも大きな痛手を受ける結果になったことは確かです。
「タレント候補がすべて悪い」とか、「タレントは政治家になってはいかん」とまでは言いませんが、劇場政治が進行している度合いを示すひとつの目安が、タレント候補の得票です。
それが減少しているということは、有権者大衆は次第に劇場政治から脱しつつある。少なくとも劇場政治から覚めた人が増えたということでしょう。
もっとも参議院選挙でも、さくらパパが大量得票して、その後に賭けゴルフ疑惑で叩かれるなどという失態を晒してしまったりなどということもありました。また、不倫疑惑で叩かれている姫井由美子議員のような例もあります。片山虎之助・元総務相との選挙戦を「姫の虎退治」などと呼んでいたりなど、(理念や政策などよりも候補者のキャラクター性を売りにした)劇場政治の側面は見られましたし、芸者姿でテレビ出演したという姫井議員も広い意味では「一種のタレント候補」と言えなくもないでしょう(注1)。
ただ今回の参議院選挙では、先述の分析記事にありましたとおり、民主党よりも自民党の方がタレント候補への依存度が圧倒的に高かったようです。
以下、もうひとつ先述の分析記事より引用です。
自民党と民主党について、個人名記載票のうちに占めるタレント票の割合を【図2】に表しました。非拘束名簿式を初めて導入した2001年に比べてその後の2回は両党ともタレント依存度は低くなりました。自民党は民主党に比べて一貫して高い傾向があり、今回の選挙では4.8倍もの開きがみられました。
「民主党の4.8倍タレントに依存していた」自民党が民主党に大敗したのは、象徴的であったと思います。
(2)有権者はサーカス(劇場政治)より、自分の生活を見つめ始めた
それでは、(1)で述べたような「タレント候補の得票の減少」や「有権者の劇場政治離れ」は何故起こったのでしょうか?
その最大の原因は、有権者が現実的な問題……特に自分の生活にかかわりの深い問題を見つめるようになったということでしょう。
別の言い方をすれば、「より地に足をつけた」ものの見方・考え方を、多くの有権者がし始めたということだと、私は思います。
例えば、2005年の衆議院選挙と今回の参議院選挙の争点の違いを比べてみてください。
前者は、「郵政刺客選挙」とも言われたように、いわゆる「郵政民営化」が表向き最大の争点に……その実は、小泉首相やいわゆる小泉チルドレンと言われる議員のキャラクター性や、反対派議員との対決を面白おかしく報道・表現したドラマ性などをウリにした……いわば、マスメディアをも総動員した空前の劇場型選挙でした。
後者は、「年金」「地方の疲弊と都市部との格差拡大」など、より国民生活に密着した問題、及び「政治とカネ」などの問題が、事実上の争点となりました。
「今回の参議院も、結局は郵政選挙と同じではないか?
“郵政改革”が、“年金”に変わっただけで」
よくこのような意見を聞きます。
確かに今回も、あの「郵政刺客選挙」のような側面があったことも否定はできません。
いきなり作られたムードとか多数派意見に、皆が一斉に「ワーッ」と流されてしまったりとか。
ただ……。
私としては、「今回の参議院選挙が郵政選挙と全く同じ」だとは考えません。
(そして正直に言えば、「全く同じとは考えたくはない」という心情的・感情的なものもあります)
2年前の「郵政刺客選挙」は、
「争点となった“郵政民営化”なるものが一体、どんなものか?」
「国民生活、特に地方の生活にどんな影響を与えるのか?」
「黒字でしかも税金の無駄遣いにはなっていない郵政事業を民営化する必要が、そもそもあるのか?」
などの肝心な問題がまとに議論・検証されることも、ほとんどありませんでした。
政治・経済以外の要素(小泉首相ら一部の人たちによるパフォーマンスやキャラクター性など)がウリになっていた、「空前の劇場型選挙」でした。
そして現在……。
あの時、表向きの争点とされた「郵政民営化」の矛盾・問題点が目に見える形で明らかになってきました。
地方の郵便局・ATM潰し。各種手数料の大幅値上げ。必要もないのに、郵便局員による投資のセールスが行われたり。そして、「郵政民営化」そのものが、「年次改革要望書」等によるアメリカ資本に国民の財産を食い荒らさせるための策謀だったことなどが、次第に多くの人に知れわたったり……(大手マスゴミは相変わらず、そういった問題をあまり取り上げていないようですが)。
つまりは、多くの有権者大衆には、ほとんど何の利益もない。ただ、騙され、踊らされていただけだった。
きつい言い方ですが、「近年稀に見る(マスゴミ主導の)衆愚選挙」と言ってもよかったのではないか。そのようにも思うのです。
今回の参議院選挙も、「郵政選挙」と同じように、「ムードや多数派意見に流されていた」などの側面もないわけではないでしょうが。
ですが、まずはテーマからして「年金」「都市・地方などの格差問題」と、より国民生活に密着した問題です。
一部には、年金をもらわなくても生活していけるような人や、不当に多くの年金をさしめているような人たちもいるかもしれません。
しかし大半の国民、特に高齢者にとっては年金は自分の生活を左右する重要な問題です。人によっては、死活問題にもなるようなケースもあるでしょう。
それが選挙の争点になるということは、どういう形ではあっても、まずは「有権者が現実的な自分の生活に目を向け始めた」と見るべきでしょう。
また今回の参議院選挙の特徴のひとつとして、地方の自民党離れが顕著であったことがあげられます。
これはおそらく、自民党政権が特に近年進めてきた「コウゾウカイカク(=市場原理主義改革)」によって切り捨てられ、疲弊してきた地方の怒りや不満がその背景にあるものと思われます。
そんな地方の現実や地方の人たちの生活をよく見ていた人には、それがよくわかっていたし、また今回の選挙結果も予想できたことなのでしょう(注2)。
自民党の進めてきた市場原理主義改革によって、生活や権利を犠牲にされていた人たち。
大事なものを失ったという人もおられるでしょう。
しかしそんな経験を経て、「自分たちの生活をみつめる」「自分たちの生活に関係するものとして、自分の頭で、真面目に政治を考える」ことを始めた。
それらを既に実行していた人も。
そして政権与党とマスゴミ主導の劇場型政治に踊らされていた人たちも。
(1)で、「参議院選挙では、民主党よりも自民党の方がタレント依存度が高かった」ことも紹介しました。
弊サイトの読者さんも指摘されたことですが、むしろ劇場型選挙に踊らされた人は、自民党に投票した人に多かったのではないか。
そんな気もしますが……。
(3)細木和子の人気に陰りが見え始めた
最後に『逆説の胴体力(重心力) 2 重心集約力は 筋力ではない』のN氏さんが、私の記事へのご意見の中で「B層」が存在する証拠してあげておられた、細木和子なる占い師の存在と、その人物が出演するテレビ番組が高視聴率をあげていることについてです。
溝口敦氏の『魔女の履歴書』を一部ですが、私も読みました。溝口氏は「細木和子の特徴は低俗性とヤクザ性であり、彼女が日本人に受け入れられているのは、日本人の低俗性ゆえである」という意味のことを言っておられたのを覚えています。
しかしながら、「日本人の低俗性の象徴」としてあげられていたこの人物も、その勢いにかげりが見えてきたようです。
ここに、細木和子の出演知る番組の視聴率が下がったというニュースがあります。
以下、引用です。
パワーダウンが顕著な細木数子 (ゲンダイネット)
説教オバサンの神通力もここまでか。細木数子の特番が1週間に2本も放送されたが、25日の「ズバリ言うわよ!2時間スペシャル」(TBS)が12.3%、28日の「幸せって何だっけ・カズカズの宝話SP」(フジテレビ)は15.8%とイマイチな結果だった。
かつては“視聴率女王”と呼ばれ、細木の番組は20%近い高視聴率になるのが当たり前だった。ところが、今年の新春の細木の特番はほとんどが15%を下回り、この春の「ズバリ言うわよ!2週連続2時間スペシャル」の初回も14.2%。じわじわと数字が落ちている。そういえばセンセイは大殺界の真っただ中だったような……。
【2007年10月2日掲載記事】
おそらく細木センセのパワーダウンの原因は、「大殺界」だけではないでしょう。
自分のわがまま放題に威張り散らしたり。気に入らない相手を口汚く罵倒したり。そして自民党などの強者に露骨に、臆面もなく擦り寄っていくなど。
そんなスタイルが、テレビの視聴者に飽きられてきた。あるいは、嫌がられてきたのではないか。
そう私は思います。
以上、「“B層”と呼ばれた人たちが変化し始めた」と私が考える理由をあげてきました。
つまり。
政権与党とマスゴミが煽ってきた劇場型選挙に踊らされることなく、真面目に自分たちの生活を見つめ、それに深く関連するものとして政治を捉え始めた。
そういう人たちが増えてきたのではないでしょうか。
いわゆる「B層」が劇場政治を求めているというよりも、御用マスゴミが「B層」を生み出し、自民党政権を支えている!
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-103.html
この過去エントリーに書いたように、むしろ(政権与党など市場原理主義推進勢力とグルになった)大手マスゴミの方が、「B層」を作り出そうとして躍起になっているのではないか?
そんな気さえしてくるのです。
そうなった方が、政権与党やマスゴミを含む「市場原理主義改革推進勢力」にとって都合がいいでしょうから。
「B層」と呼ばれる人たちそのものよりも、有権者を「B層」たらしめようとする構造の方が、より問題なのではないか?
私としては、そのように考えるのです。
今後とも、マスゴミ報道など、大衆の「B層」たらしめようとするもの……日本の政権交代や真の改革を阻むものについて、考えていきたいと思います。
それでは、今回はここまで。

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(注1):
覚えておられる読者さんも多いかもしれませんが、姫井議員の不倫疑惑が騒がれた時、以下の擁護エントリーを私は書きました。
姫井議員の不倫問題などの野党議員叩きに関して @ 安倍内閣がピンチなためか、御用マスゴミもネット工作員も必死なようですね(苦笑)
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-99.html
今回エントリーにて、「姫の虎退治」などというフレーズに見られるような「劇場型選挙」としての側面を認めつつも、何故そのような擁護エントリーを書いたのか。
これを疑問に思われる読者さんもおられるかもしれません。
その理由は、そのエントリーに書いてあります。
また、もうひとつの大きな理由として、一連の姫井議員叩きには、前回姫井議員に敗れて落選した片山虎之助・元総務相を復活当選させようという意図がミエミエであるというのもあります。
姫井問題に関する私の考えは、以下にあげるエントリーの考え方に一番近いので、紹介します。
姫井由美子議員をあえて擁護する
(『喜八ログ』2007年9月3日記事)
http://kihachin.net/klog/archives/2007/09/himei.html
また、私の政治や選挙に対する考え方を示すために、以下の過去エントリーも参考までに紹介しておきます。
less worse の選択(1) @ 棄権することの危険性
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-77.html
less worse の選択(2) @ 私なりのless worse
http://komichin.blog80.fc2.com/blog-entry-78.html
この場合で言えば、「姫井議員の不倫よりも、片山元総務相の棄民・売国行為(郵政民営化などを推進する側に回ったこと、反対できる立場にありながらそれをしなかったこと)の方が、私にとってはより重大な罪であった」ということなのです。
(注2):
これに関してひとつ。
地方の現状をつぶさに観察し、参議院選挙の3ヶ月以上も前から、今回の選挙結果を予測・分析していた人がいます。
その一人が、『復活!三輪のレッドアラート』の三輪耀山氏です。
今回の前哨戦について』
(「復活!三輪のレッドアラート!」2007年4月9日記事)
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-191.html
思い返してみればその時期は、東京都知事選挙における石原慎太郎氏の圧勝に、「反自民」「反小泉・反安倍」「反石原」を掲げる我々は、ショックを受け、打ちひしがれていました。
今だからこそ言えることなんですが、私自身も「気落ちしているよりも次につなげよう」と言ってはいましたが、その言葉は他人に向けたというよりも、挫けそうになる自分自身を叱咤激励するためのものでした。
そんな時期においても、三輪氏は現状を冷静に分析し、参議院選挙の結果を見事に予想・分析されていました。
いくらかの紆余曲折はあったようですが、参議院選挙はほぼ三輪氏の予想どおりになりました。
おそらく分析も正しいと、私は見ています。
地方の現実を観察・分析してきた人には、よくわかっていた、ということでしょうか。

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本日のNHKニュース7で、一切報道なし。年次改革要望書と郵政民営化は、密接不可避。
http://kihachin.7.dtiblog.com/blog-entry-1008.html
それにしても……
たしかに人を「愚民」とか見下しても、いいことはないですね。
それに私自身がれっきとした「愚者」ですから・・・(汗)。
「喜八ログ」も「愚ブログ」ですが、頑張っても急にアタマはよくなりませんから、今後もボチボチとやっていきます(笑)。
URLの前に、hを付けてください。
10月18日付で発表された、今年の年次改革要望書について言及したサイトです。
英語と経済に詳しい方、【是非とも直訳調で日本語訳】、そして解説をお願いします。
日本語を曖昧にするために、遅れて発表する公式発表は信じられませんから。
発表された事実を、テレビ・新聞は昨日、本日とも一切報道せず。マスコミの存在価値が問われる。
【今年の年次改革要望書に言及したサイト】(一部、日本語訳あり)
ttp://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-442.html
ttp://restororation.blog37.fc2.com/blog-entry-967.html
ttp://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10051731824.html
ttp://simanto114.blog116.fc2.com/blog-entry-83.html
【英語の原文サイト】
http://www.ustr.gov/assets/Document_Library/Reports_Publications/2007/asset_upload_file751_13383.pdf
【マスメディアへの苦情一覧表】
http://www.news-pj.net/link/media.html
【要約版が載っているサイト】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2007/10/post_f22c.html
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2007/10/post_0f24.html
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